研究課題
平成29年度はリン酸化ミミックAlF4-を用いたSer/Thrホスファターゼの基質トラップ法により得られたペプチドに対して,リン酸化ペプチドを合成し,脱リン酸化活性を評価することにより本手法の有用性を確認した.SCP1ホスファターゼに対して,AlF4-存在下で最も高頻度で検出されるとともに,AlF4-依存的に結合することが確認できているM12-1ペプチドを用いた解析により,本ペプチドがSCP1により有意に脱リン酸化されること,またその脱リン酸化能は脱リン酸化部位周辺のアミノ酸配列により影響を受けることが明らかとなった.このことから,AlF4-を用いた本手法は,新規Ser/Thrホスファターゼの基質トラップ法として有用であることが示された.また, 配列データベースを用いてM12-1ペプチドのホモロジー検索を実施したところ,M12-1は筋骨格系の疾患であるリッチャー-シンゼル症候群に関与するWASH complex subunit 5 (別名ストルペリン)と高い相同性を示すことから,SCP1が筋骨格疾患の制御に関与することが示唆された。また,PPM1D430を用いたSer/Thrホスファターゼの基質トラップ型変異体については,昨年度までにビオチン化した既知基質由来のリン酸化ペプチドに対する結合試験により,野生型に比べて基質トラップ変異体に高い結合能を持つことを確認していた.そこで,本年度は,既知基質由来タンパク質を細胞内で発現させ,基質トラップ変異体を用いて細胞内における結合能の解析を実施した.その結果,既知基質タンパク質は基質トラップ変異体に特異的な結合が検出されたことから,本変異体が,Ser/Thrホスファターゼに対する基質トラップ変異体として機能することが明らかとなった.これらの研究成果より,基質,ならびに酵素側の両方向からのアプローチによるSer/Thrホスファターゼ新規基質同定法の有用性が確認された.
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Protein & Peptide Letters
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10.2174/0929866525666171206114913
Peptide Sci
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http://chem.sc.niigata-u.ac.jp/~chuman/