研究課題
大型の機能性RNAをユニット構造として、i) 一次元・二次元の「超ナノRNA構造体」を創製し、ii) 超ナノ構造に依存した高次機能の発現、iii) 超ナノ構造の細胞様環境下での構築を行う。(課題1)モジュール工学による「一次元RNA超構造アレイ」の構築:H27年度に構築した単分子で高度に機能するRNA酵素(リボザイム)を単位モノマーとした一次元の超分子アレイ構造に対し、相互作用モジュールの組み込み位置などを改変し、異なる分子構造の単位モノマーが一次元型に集積するデザインを新たに2種開発した。昨年度のデザインと合わせて3種のデザインいずれにおいても、集積構造形成に依存して酵素機能を発現させることに成功した。(課題2)二次元RNA超ナノ構造の構築:H27年度にデザインと実際の集積構造の確認に成功したホモ3量体による正三角形型集積体とホモ4量体による正方形型集積体について、単位モノマー間の相互作用界面の分子認識を差別化し、3種のモノマーの閉環によるヘテロ正三角形の形成、2種のモノマーが2分子ずつ相互集積して閉環したヘテロ正方形の効率的かつ選択的な集積に成功した。さらにこれらヘテロ集積体による複数の基質RNAの集積依存的かつ単位ユニット毎の選択的切断の実現と詳細な解析も達成できた。さらにヘテロ集積体における階層的な集積/解離過程の解析にも成功した。(課題3)異種RNAユニットのヘテロ集積による高次機能の連携:超ナノ構造を形成するRNAユニットとして、複数種の機能性RNAをコポリマー型に組み込み、ヘテロ集積超構造を構築する。実際にヘテロ集積を行なう単位ユニットとして、リボヌクレアーゼPリボザイムの二つのドメインの異種間集積が有望であることを見いだし、ヘテロ集積型リボヌクレアーゼPリボザイムの集積依存的な活性発現に成功した。
2: おおむね順調に進展している
最初の2年間に予定した研究課題は、一部実験の具体的な材料を修正しつつ、学術的目標は順調に達成できた。課題1および課題2については、その初期達成部分を、研究論文として公表できたことは順調な進展の成果である。
当初の予定通り、3年目に計画した課題を遂行する。
本年度の研究に関して、研究の中盤時(3年中の2年目)である利点を活かし、生化学実験の効率化や消耗品購入の節約化(酵素類の自作などを含む)により最大限物品費の低減に挑戦した結果、研究進行のスピードを下げずに物品費を低減できた。加えて、成果発表を行なった雑誌についても投稿費用等が当初予定より安価な雑誌に掲載された。これらの成果を、最終年度の研究加速につぎ込むためである。
最終年度は、各課題に対して、論文発表に耐えうる実験の量および質を伴う最終成果の蓄積が要求されるため、研究消耗品は出来る限り高品質なものを用いる。H28年度に節約できた分を最終年度の効率的な研究進展に充填する。また成果報告についても、評価の高い学術雑誌は掲載料も極めて高額である場合が多いために、それらの雑誌への投稿を想定して昨年度の繰り越し分を使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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