研究課題
本研究は、極微量で高度な機能を発揮し生体制御系に大きな役割を果たしていることが明らかになりつつある血中microRNAの機能制御法開発を目指すものである。前年度までに、in vivo において予備的な検討実験を既に開始していたが、今年度はより本格的に、開発した新規遺伝子制御分子の in vivo においての有効性評価を行った。担癌マウスを作成し、合成した遺伝子制御分子をマウス血中に投与し、 in vivo imaging装置を用いて臓器分布を定量評価した。その結果、投与した遺伝子制御分子は投与約3時間後より腫瘍への集積が認められ、その効果は72時間経過しても観察された。また、マウスを解剖し、より詳細な臓器分布を評価したところ、腫瘍へ最も集積していることが確認された。また、大変興味深いことに転移腫瘍への集積も認められた。この結果より、今後、原発腫瘍だけでなく転移腫瘍への薬物送達に関しても応用可能であることが期待された。エクソソームの受容細胞指向性はその後、様々な論文で明らかとなり、特に特に癌細胞から放出されるエクソソームは標的臓器に選択的に取り込まれ、前転移ニッチ形成に寄与することを明らかにした報告までなされた。これらの知見はすなわち、がん細胞から放出されたエクソソームに随伴して薬剤を送達することが可能となれば、原発腫瘍だけでなく転移腫瘍に対しても選択的な薬物送達システムが構築出来ることを示唆している。さらに、がん細胞において発現量が亢進しているmicroRNAを標的としたanti-miR核酸を搭載した ExomiR-Trackerを担がんマウスに尾静脈投与し、腫瘍サイズを経時的に測定した。その結果、今回合成したExomiR-Trackerは、投与量 約0.2 mg/kgで抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。
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