| 研究課題/領域番号 |
15K05570
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| 研究機関 | 東京理科大学 |
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研究代表者 |
飯島 一智 東京理科大学, 工学部, 助教 (30468508)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| キーワード | 間葉系幹細胞 / ヒドロキシアパタイト / 多糖 / 分化 / フィルム / 細胞足場 |
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| 研究実績の概要 |
本年度はまず、ヒドロキシアパタイト（HAp） 被覆ポリスチレン（PS） プレートの作製手法の改良を行うと共に、得られたHAp被覆PS上でのヒト間葉系幹細胞（hMSC）の接着・増殖挙動および分化挙動の解析を行った。
従来はPSプレートに対してタンパクとしてヒト血清アルブミン（HSA）を吸着させ、塩化カルシウム水溶液で24時間前処理した後に1.5倍濃度の擬似体液（1.5SBF）に24時間浸漬させることでHAp層を析出させていたが、前処理を塩化カルシウム溶液とリン酸二水素ナトリウム溶液を用いた交互浸漬にすることで、およそ半分の時間、かつ少量のSBFで作製する手法を確立した。次に、得られた表面がマイクロメートルスケールで平滑なHAp被覆PSプレートを用いてhMSCの培養を行い、接着・増殖挙動をWST アッセイ、DNA定量およびホルマリン固定後のヘマトキシリン染色により評価した。その結果、HAp被覆PSプレート上にhMSCは接着・伸展し、接着細胞数は細胞培養用PS（TCPS）プレートとほぼ同程度であった。さらにHAp被覆PSプレート上のhMSCはTCPSと同様の増殖挙動を示した。足場上に播種したhMSC を各細胞系列への分化誘導因子を含む培地で所定期間培養し、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞への分化について解析したところ、TCPSと比較してHAp被覆PSプレート上では骨芽細胞への分化が促進され、脂肪細胞や軟骨細胞への分化が抑制されていることがわかった。
多糖複合フィルムについては、キトサンとアニオン性多糖としてコンドロイチン硫酸Cに加えてヒアルロン酸、ヘパリン、アルギン酸からなるフィルムを作製し、物性評価を行うとともに、予備検討としてマウス胎児線維芽細胞の接着挙動の解析を行った。キトサンと組み合わせるアニオン性多糖の種類によって細胞接着性が大きく異なることが明らかになった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は骨類似アパタイト被覆ポリスチレンおよび多糖複合フィルムという2種類のハイブリッド型細胞足場におけるヒト間葉系幹細胞（hMSC）の接着・増殖挙動と各細胞系列への分化特性を明らかにするとともに、得られた知見を材料設計へフィードバックし、hMSC の分化を制御可能な材料の開発を目的としている。本年度は前半部分、すなわちハイブリッド型細胞足場におけるhMSCの接着、増殖、分化挙動の解析を中心に行い、骨類似アパタイト被覆ポリスチレン上におけるhMSCその分化特性を明らかにした。本年度、real-time PCRを用いた分化マーカー遺伝子の発現解析や染色による分化特性の解析手法を確立したことで、次年度以降に予定する多糖複合フィルム上でのhMSC分化特性の解析および分子修飾による分化制御はスムーズに進行するものと期待される。当初予定していたキトサン/コンドロイチン硫酸複合フィルム上でのhMSC分化特性については、アニオン性多糖間での比較が重要であると考え、先に2年目に予定していた多糖複合フィルムの作製、物性評価、モデル細胞を用いた接着評価を行った。
以上の通り、実験計画と順番の前後はあるものの、おおむね順調に進展している。
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| 今後の研究の推進方策 |
まず、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリンおよびアルギン酸とキトサンからなる複合フィルムを用いてヒト間葉系幹細胞（hMSC） の接着・増殖と骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞への分化について解析し、多糖複合フィルムの構成多糖の違いがhMSCの増殖、分化特性に与える影響を明らかにする。その上で、すでに当研究室ですでに確立しているキトサンのアミノ基を介したペプチド修飾技術を利用し、hMSC の増殖を促進するペプチドSVVYGLRの修飾がhMSCの増殖、分化挙動に与える影響について検討し、hMSCの増殖や分化特性を制御可能な足場材料の創製を目指す。
アパタイト被覆ポリスチレン材料については、多孔質など複雑な形状のポリスチレン製細材料の骨類似アパタイトによる被覆についても検討する。これらと当初予定した自発的各形成を利用した表面荒さの異なる材料を用いて表面構造がhMSCの分化に与える影響について評価する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
2015年度にコンドロイチン硫酸/キトサン複合フィルム上での間葉系幹細胞の分化特性解析を次年度に行う予定であったが、先に種々のアニオン性多糖からなるフィルムの作製とモデル細胞を用いた予備検討を行ったため、未使用額が生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
このため、コンドロイチン硫酸/キトサン複合フィルム上での間葉系幹細胞の分化特性解析は他の多糖複合フィルムと合わせて行うこととし、未使用額はその経費に充てることとする。
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