研究実績の概要 |
本研究では水と二酸化炭素により得られるプロトンを均一系酸触媒反応および不均一系水素化反応の添加剤として用いる,環境負荷低減型の触媒プロセス開発を行うものである。 均一系触媒反応として,炭素数4の糖であるエリスリトールの水溶液中における脱水反応を行った。自作のバッチ式反応器を用い1mol/Lエリスリトール水溶液を623 Kで6分処理すると添加率63%でエリスリトールが反応し,収率20%で1,4-アンヒドロエリスリトールが得られた。反応時間を60分にすると添加率100%でエリスリトールが反応し,収率35%で1,4-アンヒドロエリスリトールが得られた。19MPaの二酸化炭素下においては6分,および60分の処理で添加率68および100%でエリスリトールが反応し1,4-アンヒドロエリスリトール収率は21および35%であった。623Kの高温水中ではエリスリトールの分子内脱水が速く進行し炭酸水由来のプロトンの影響は小さいことがわかった。 均一系触媒反応として担持パラジウム触媒によるフルフラール水素化反応を行った。水素圧3MPa,反応温度313K,反応時間30分で無溶媒,水,n-ヘプタン溶媒でのフルフラール添加率はそれぞれ10.1, 85.4, 14.0%で水溶媒の添加効果が最も大きかった。また水溶媒に二酸化炭素を添加した系において反応時間10分で,水,水+5MPa二酸化炭素,水+10MPa二酸化炭素のフルフラール添加率はそれぞれ50, 67, 73%であり高圧二酸化炭素添加により水素化反応速度が向上することを見出した。
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