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2016 年度 実施状況報告書

放射性Cs-137及びSr-90の光学的検出のための蛍光化学センサーのデザイン

研究課題

研究課題/領域番号 15K05580
研究機関東北大学

研究代表者

Pichierri Fabio  東北大学, 工学研究科, 准教授 (40374920)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードセンサー・モニタリング / 量子計算科学
研究実績の概要

平成28年度は、ククルビツリル(CB)大環状分子の共有結合から得られた二次元(2D)層状物質を設計した。この結果は、ククルビツリル大環状分子からなる共有結合性フレームワークのデザインのための新しい戦略に基づいている。この戦略では密度汎関数理論(DFT)計算を使用する。 この新しい戦略は、CB分子の高い対称性と有機化学基を持つCB分子を機能化する可能性の両方に基づいている。最初に、CB分子をベンゼン環で機能化した。 ベンゼン環は、メチレン架橋された1対のCBに融合され、CB-ベンゼンモノマーを生成する。2つのCB-ベンゼンモノマーを接続するには、ベンゼン部分を1つのヒドロキシル基(-OH)および1つの臭素基(-Br)で官能基化することが必要である。 これら2つのモノマーは、1対のエーテルブリッジを含むCBダイマーを生成する縮合反応によって互いに反応することができる。もしこのプロセスを6つの官能基化ベンゼン環を含むCBマクロサイクルを用いて繰り返す場合、酸素架橋を介して互いに結合したCB分子からなる2Dネットワークを得ることが可能となる。得られた2Dナノシートは、汚染された水溶液中に存在するCs +イオンの捕捉のためのナノフィルターとして使用することができた。 Cs+イオンは、4つまたは5つのCs-O結合の形成を介して捕捉することができる。これらの結合は、CB:Cs +錯体の結晶構造において観察されるものと同じタイプである。 さらに、この2Dナノシートは、ピペラジンなどの窒素含有分子を使用することによって3D固体に拡張することができる。これらの分子は、分子ブリッジの酸素原子とN-H:::O水素結合を形成する能力を有し、したがって、異なるナノシート間の結合を提供する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大きな問題がなく、計算が順調に進んだため、良好である。

今後の研究の推進方策

今後の研究では、1つ以上のフェニル(-Ph)基を付加することによってククルビツリル(CB)大員環を修飾する予定である。 フェニル基は、炭素 - 炭素結合の形成を介してCBの中央間部分に結合することができる。フェニル基の使用を選択する理由は、π電子とCs+イオンとの間の引力的な相互作用(Cs+ / pi)が形成され得るからである。 予備的な密度汎関数理論(DFT)計算では、Cs+ / pi相互作用が約1-2kcal / molのエネルギーを有することを示している。したがって、これらのCs+ / pi相互作用は、Cs+イオンの錯体化に対するCB大環状化合物の選択性を高めるために使用することができると考えられる。 さらに、CBに結合したフェニル基は、ヒドロキシル基(-OH)およびカルボキシル(-COOH)基などの酸素原子を含む化学基で官能化することができる。これらの化学基はCs+イオンに対して強い親和性を示す。 これらの化学基は塩基を用いて脱プロトン化することができ、得られたアニオン性基はCs+イオンと強い静電相互作用を形成することができると予想される。
さらに、Cs+イオンに加えて、Sr2+イオンも、これらのアニオン性基との静電相互作用を用いて捕捉することができるであろう。 Cs+およびSr2+に対する受容体の選択性は、CBに結合するフェニル基の数および各フェニル基に結合する化学基の数を変えることによって制御することができることになる。目標は、汚染された水中のこれらのイオンの濃度に応じて、Cs+またはSr2+に選択的に結合することができる大員環をデザインすることである。ナフタレン基を加えることによって、これらのイオンの光学的検出にその蛍光を使用することができる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Molecular triskelions: structure and bonding in perhalogenated analogues of boric acid, X3BO3 (X=F,Cl,Br,I)2017

    • 著者名/発表者名
      Fabio Pichierri
    • 雑誌名

      Structural Chemistry

      巻: 28 ページ: 213-223

    • DOI

      10.1007/s11224-016-0835-5

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Macrocycles for the complexation of radiocesium: a concise review of crystallographic and computational studies2017

    • 著者名/発表者名
      Fabio Pichierri
    • 雑誌名

      Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry

      巻: 311 ページ: 1251-1263

    • DOI

      10.1007/s10967-016-4968-1

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Computational design of soft materials for the capture of Cs-137 in contaminated environments: from 2D covalent cucurbituril networks to 3D supramolecular materials2016

    • 著者名/発表者名
      Fabio Pichierri
    • 雑誌名

      AIP Conference Proceedings

      巻: 1763 ページ: 040002 (1-6)

    • DOI

      10.1063/1.4961350

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Theoretical study of piezoelectrochemical reactions in molecular compression chambers: In-situ generation of molecular hydrogen2016

    • 著者名/発表者名
      Fabio Pichierri
    • 雑誌名

      Chemical Physics Letters

      巻: 661 ページ: 125-130

    • DOI

      10.1016/j.cplett.2016.08.071

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Unraveling the nature of Cs-pi interactions with the aid of quantum chemistry2016

    • 著者名/発表者名
      Fabio Pichierri
    • 学会等名
      ChemBond 2016
    • 発表場所
      ドレスデン(ドイツ)
    • 年月日
      2016-11-28 – 2016-11-28
  • [学会発表] Cucurbituril macrocycles for the complexation of radiocesium in the contaminated environment2016

    • 著者名/発表者名
      Fabio Pichierri
    • 学会等名
      International Conference on Radioanalytical and Nuclear Chemistry
    • 発表場所
      ブダペスト(ハンガリー)
    • 年月日
      2016-04-12 – 2016-04-12
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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