平成28年度に続き、アミノ酸系イオン液体を用いたドライ物質を作成し、その二酸化炭素吸収性能評価を行った。吸収性能の水分含量依存性の調査に基づくと、アミノ酸としてアラニンを用いたドライ物質はモルベースでも質量ベースでも優れた吸収性能を発揮することを見出した。ドライ物質の吸収性能の向上を図るため、内部水相へアミノ基を有するポリマーを共存させ、そのドライ物質の吸収性能向上評価を行った。その結果ポリアリルアミンを用いた系において、質量ベースでほぼ2倍の吸収性能の向上が見られた。しかしポリアリルアミンを加えた系においては、加熱によるリサイクル操作の際、アミノ基間の反応により尿素結合が生成してしまい、吸収能を失ってしまうことがわかった。そこで尿素結合の生成がおきやすい1級アミンを多く含まないポリアリルアミンを用い、さらにこのポリマーをエチレングリコールジグリシジルエーテルにより架橋し、ドライゲルとすることで、加熱(80℃)によるリサイクル利用においても吸収性能低下の少ない(吸収能70%維持)優れた吸収材料を得ることに成功した。 以上の研究全体を通して、グリシン、アラニン、リシンなどと4級アルキルアンモニウムからなるアミノ酸系イオン液体を二酸化炭素吸収剤として用いたドライ物質は、一般に用いられている低分子アミン水溶液に比べ、優れた吸収速度と同等以上の吸収性能とリサイクル性も兼ね備えた画期的材料となりうることを実証した。
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