研究課題
【テーマ1】においては、2‐メトキシナフタレンのアシル化反応において、ゼオライト触媒では世界最高の転化率および目的生成物の選択性を実現する事に成功した。具体的には、汎用性の高いMOR型ゼオライトを使用し、従来の触媒の概念とは異なるアプローチ、すなわち非常に少量の活性点しか有さないゼオライトが有用であることを突き止めた。種々のゼオライトについても同様のアプローチを試みたが、MOR型ゼオライトが最も最適であることを確認した。このため豊橋での学会発表を行った。本研究成果の論文投稿を行うための、より詳細な実験を行い、実際に論文投稿を行った。今後、本研究は更なる触媒反応の向上を目的に研究を遂行する予定である。また、ゼオライト触媒の検討の際に、新たに異種金属を含むCDO型ゼオライトが合成出来る事をみいだしたため論文投稿を行った。【テーマ2】に関しては、これまでに4種類のメソポーラスシカについて、細孔径と触媒活性の関係を得ることができた。面白い事に、トポロジーの違いにより触媒活性の様子が異なることが分かり、現在は、論文投稿のための最終的なデータ集めを行っている。しかしながらトポロジーに由来する細孔径と得られた触媒活性との間に、どのような関連性があるのか?現在は、その点に関しての解釈を考慮中であり、まとまり次第、投稿を行う予定である。次年度は、新しい空間群を有するメソポーラスシリカについて細孔径と触媒活性の関係を引き続き明らかにしたいと考えている。しかし現状では、他の空間群では細孔径のコントロールが難しい事が分かっており、上記の4種類で論文投稿を踏まえた議論で終了する可能性がみこまれるため、本触媒反応の有用性をアピールできるような研究を試みようと思っている。
1: 当初の計画以上に進展している
【テーマ1】においては、申請時において触媒反応の開発を目的にしていたが、初年次で世界最高の転化率および目的生成物の選択性を可能とする反応系の開発に成功した。明らかに当初の予定よりも大きな成果が上がったと言える。このため、早急に論文投稿を行う必要がでたため、種々のゼオライト触媒およびケース反応を行う事で、反応機構を含めた深い議論ができ論文投稿に繋がった。また、ゼオライト触媒の合成の際、CDO型の骨格中に異種の金属を導入する事が分かり想定外ではあるが論文投稿と言う形で研究成果としてあげる事が出来た。【テーマ2】においては、当初の予定通り、代表的なメソポーラスシリカ4種類について、細孔径が異なるものを合成し、実際に触媒反応を試みる事が出来た。得られたデータから、すべてのメソポーラスシリカには最も活性の高い適切な細孔径がある事を、ゼオライト学会にて報告する事が出来た。しかしながら、その他の空間群を有するメソポーラスシリカの合成に苦戦しており、本研究のもととなるアミド化反応をアピールする研究の実施に戻る可能性がある。現在は、得られたデータの詳細な分析と、トポロジーに反映される細孔径と触媒活性の違いをどう解釈するか検討中であり、論文投稿を考えている。
【テーマ1】に関しては、さらなる転化率および選択性の実現を可能にすべく検討を行う。具体的には、MOR型ゼオライトのモルフォロジーの違いによる触媒活性の違い、骨格にルイス酸を加える事での触媒活性の向上、脱アルミニウムによるシラノールネストの影響について、さらには外表面酸点の影響などを検討する予定であるが、次年度では困難なため、新規の申請に加える予定である。【テーマ2】に関しては、現在行っているメソポーラスシリカの細孔のチューニングが出来ない事から、苦戦している現状である。このため、データの取れた代表的な4種類に関しては、最終年度中には論文投稿を済ます予定である。研究としては、本触媒反応で未だ行っていない基質へのアミド化反応を行って、新規の知見を得ることが考えられる。
本年度は、前年度に対応する試薬を購入していたため。また、機器分析においては、大きな故障等なく研究が行えたため。最終年度に国際学会、学会への参加、または、X線の管球の購入を考えている。
国際学会への参加やX線の管球の購入を考えている。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (1件)
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