研究課題/領域番号 |
15K05590
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
篠崎 由紀子 富山高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (60727113)
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研究分担者 |
袋布 昌幹 富山高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (50270244)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シデロフォア / 微生物 / キレート / メッキ排水 / ニッケル / 金属回収 |
研究実績の概要 |
本研究では、微生物が生産するキレート剤(シデロフォア)を利用したメッキ排水からの有用金属回収法の開発を目的として、以下の検討を行っている。 (1)新規シデロフォアの取得と基本特性の解析 (2)シデロフォアの効率的な生産および抽出・精製条件の検討 (3)シデロフォア固定化担体の作製 (4)メッキ工場の実排水からの金属回収 過去の研究において、コバルトイオンを添加した培地で集積培養を行うことにより、土壌中からコバルト耐性を有するシデロフォア生産菌を取得している。このシデロフォアを、コバルトイオンを含む水溶液に添加した後、疎水カラムに吸着させることにより、水溶液中の比較的低濃度のコバルトイオンを回収可能なことが分かっている。 そこで今年度は、メッキ排水中に含まれる主な金属であるニッケルに着目し、ニッケルを用いて同様のスクリーニング操作を行った。その結果、(1)に関して、水溶液中のニッケルイオンの回収に利用可能なシデロフォアを生産する菌株の取得に成功した。(2)に関しては、シデロフォアの生産に適した培地成分の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「(1)新規シデロフォアの取得と基本特性の解析」について、過去に取得した菌株のシデロフォアを用いて検討した結果、ニッケルイオンに関しては回収率が低いことが分かったため、新たに菌株のスクリーニングを行った。その結果、添加する濃度に応じたニッケルイオンの回収が可能なシデロフォアの生産菌を取得することができた。新たに有望な菌株が得られたため、計画通り(2)以降の項目について検討を進めている。「(2)シデロフォアの効率的な生産条件」については、順調に検討を行っており、適した培地成分(炭素源等)が分かってきている。「シデロフォアの精製」に関しては、使用できる装置が少なくまだ実験を進められていないが、今後は必要な装置等を購入し、シデロフォアの精製条件の検討を行う。「(3) シデロフォア固定化担体の作製」については、市販の疎水性担体を用いて検討したが、ニッケルイオンの回収率が低かったため、今後は材質や形状の異なる担体を用いて検討を行う。「(4) メッキ工場の実排水からの金属回収」に関しては、メッキ会社とその排水に関する調査、および排水の分譲に関して情報収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
「(2) シデロフォアの効率的な生産および抽出・精製条件の検討」については、前年度の検討結果に基づき最適な炭素源を用いて、シデロフォア生産菌の培養液量のスケールアップを行う予定である。また、溶媒を用いたシデロフォアの抽出と、各種カラムクロマトグラフィーによるシデロフォア精製の条件検討を行う予定である。 「(3) シデロフォア固定化担体の作製」については、材質や形状の異なる担体を用いて検討を行う。(2)の検討でシデロフォアの精製が出来れば、精製したシデロフォアを用いて(3)の検討を行う。「(4) メッキ工場の実排水からの金属回収」に関しては、メッキ会社から実排水を分譲してもらい、各種金属成分の分析を行う。最終的には、取得したシデロフォアを用いて、実排水からのニッケルイオンの回収が可能かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗状況により、初年度に予定していたメッキ会社との打ち合わせを次年度に行うことになり、そのための旅費を次年度に持ち越す
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次年度使用額の使用計画 |
メッキ会社の見学および打ち合わせを行うための旅費として使用する
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