研究課題/領域番号 |
15K05601
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
大脇 健史 名城大学, 理工学部, 教授 (50394474)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 光触媒 / 中間生成物 / 酸化作用制御 / セルロース |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、光触媒材料、照射波長、および酸化ガス濃度により、光触媒の酸化作用を制御することによって、分解が困難であった非食料バイオマスを効率的に有用燃料に変換する技術を開発することである。初年度において、ガスクロマトグラフ、紫外光・可視光源、光学フィルタおよびガラス製反応容器を組み合わせ、光触媒分解生成ガスの測定システムを構築した。さらに、基本的な有機ガスとしてアセトアルデヒドガスを用い、光の波長及び雰囲気ガスによって光触媒の酸化分解過程を制御できることを見出した。 本年度は、最初に波長405nmの光照射下で窒素雰囲気下において酸化チタン系材料を用い、アセトアルデヒドおよびトルエンガスを光触媒分解した。その結果、通常の光触媒分解では検出できない生成ガスとして、アセトアルデヒドからの場合、アセトン、蟻酸メチル、酢酸メチルを検出し、トルエンからの場合、アセトン、イソブテン、メチルフランを検出した。このように、光触媒の酸化作用制御によって、新たな有機化合物を生成できることがわかった。また、波長450nm、乾燥空気雰囲気下で酸化タングステンを用いた条件下で、セルロース粉末を光触媒分解した所、生成物としては炭酸ガスおよび水であったが、その実験系にアセトアルデヒドガスを加えると、蟻酸メチルおよびホルムアルデヒドの生成が確認された。さらに、ベネジクト反応により糖類の生成も確認された。現在、光触媒の酸化制御条件と生成物の関係を詳細に調べている段階である。このように、セルロースから光触媒分解過程を光触媒の種類、光の波長及び雰囲気ガスによって制御できる可能性を見出すことができた。 今後、セルロース、リグニンを用い、光触媒の酸化作用制御による研究を進め、有用物質変換をさらに進める予定である。また、アセトアルデヒドおよびトルエンガスにおいても新規有機物質への変換効率の向上等進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
修士学生一人に学部生をふたり増強し、合計4名で、分担して光触媒の酸化制御反応を進めることにより、昨年度の若干の遅れを取り戻すことができた。期待していた酸化制御反応が、基本的な有機化合物であるアセトアルデヒドおよびトルエンにおいても、また、セルロースにおいても可能であることを見出すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度、当初の目的であった非食料バイオマスであるセルロースおよびリグニンの光触媒分解の酸化作用制御による有用燃料の合成へと進める計画である。光触媒の酸化作用制御条件を系統的に変化させ、生成物を調べる予定である。さらに、糖の検出方法を見直し、定量的に評価する。 また、基本物質のアセトアルデヒドおよびトルエン分解において、酸化作用制御条件とアセトン等の生成効率との関係を明確化する予定である。
|