研究課題/領域番号 |
15K05610
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
大背戸 豊 福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (70324811)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 分子性ゲル / 低分子ゲル化剤 / ヒドロゲル / ゲル形成能 / チキソトロピー性 / 混合 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、ある種の低分子ゲル化剤について、アルキル鎖長の異なる同族体を適切に混合し、多成分化することで、得られるゲル状物質機能(ゲル形成能およびチキソトロピー性)の向上が可能であることを見出してきた。本研究は、これまでの研究の知見を活かして、高性能新規多成分系分子性ゲル材料創製と機能発現機構解明の基盤となる研究を行うことを目的としている。 本年度は、混合・多成分系化による物性向上効果を異なる系間で比較検討し、その発現機構解明の手がかりを得るため、前年度に引き続き、アルキルアミド-アミノ酸-ポリオール誘導体をはじめ、種々の水素結合性基とアルキル基を有する低分子ゲル化剤を合成した。今後も引き続き、新たな低分子ゲル化剤の合成を試みつつ、単独系および混合系分子性ゲルの物性評価を行う予定である。 また、これらアルキルアミド-アミノ酸-ポリオール誘導体の低分子ゲル化剤としての評価の過程で、異なる鎖長や不飽和度のアルキル基の導入し、得られたヒドロゲルのゲル物性および力学物性を検討した。その結果、アルキル基をアルキレン基に置き換えた誘導体では、同じ炭素数のアルキル基を有する誘導体と比較して、ゲル形成能およびゲルの力学物性、特にチキソトロピー性が向上することが明らかとなった(投稿論文準備中)。 さらに、これまでの研究の知見に基づき、既存低分子化合物からの新規低分子ゲル化剤探索を行った。その結果、有機溶媒および不揮発性オイルをゲル化可能な低分子化合物群を複数見出した。今後、これら新規低分子オイルゲル化剤である化合物群の単独系および混合系分子性ゲルの物性評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き、様々な水素結合性基とアルキル基を併せ持つ低分子ゲル化剤の設計・合成を行い、当初計画していた種類・数の低分子ゲル化剤を取得した。現在、これら本研究で設計・合成した低分子ゲル化剤に加え、これまで見出した低分子ゲル化剤について、単独系および混合系での分子性ゲルの物性評価に着手している。さらに、本研究において、既存低分子化合物から見出した新規低分子ゲル化剤群について、単独系および混合系での分子性ゲルの物性評価も行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において設計・合成した新規低分子ゲル化剤群および既存低分子化合物から見出した新規低分子ゲル化剤群について、単独系および混合系分子性ゲルの物性評価を行う予定である。具体的には、単独系および混合系の各種溶媒に対するゲル形成能、得られたゲルの力学物性(弾性率、チキソトロピー性)、および分子性ゲルを構成するネットワークおよびファイバーの構造解明を行う。 これら異なる系の分子性ゲルの物性評価結果を比較検討することで、混合による機能向上機構解明の手掛かりを探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
前所属機関でのプロジェクトの終了とそれに伴う残務処理、さらに現所属機関への異動の準備が年度末に重なったため、予算使用状況に遅れが生じ、当初計画していた予算額の使用が予定通りにできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に購入予定であった物品の購入、および得られた化合物の物性評価(有料機器を使用する)を行い、研究を円滑に進めていく。
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