研究課題/領域番号 |
15K05613
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
堤 治 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00313370)
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研究分担者 |
山田 重之 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 助教 (10612252)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高分子 / 液晶 / 発光 / 凝集誘起発光 |
研究実績の概要 |
これまで,単一化合物のみから白色発光を得るためには,発光部位に金原子が含まれる必要があると考えていた。しかしながら,単一化合物のみで白色発光を示す材料の発光メカニズムの解明を進める過程で,単一化合物のみから白色発光を得るために,金原子は必ずしも必要でないことを明らかにした。 今回,種々の官能基を末端にもつビフェニル構造を高分子の側鎖に導入した。合成した化合物は液晶性を示すことが分かった。これらの発光挙動を調べた結果,今回合成した高分子化合物はすべてアモルファス固体中では深青色の発光を示した。しかながら,ビフェニル末端にエチニル基(およびその誘導体)を導入した場合,液晶状態にすることで単一の化合物のみから白色発光が得られることを発見した。この結果,今回開発した材料は 1.分子構造が非常に単純であり,レアメタルや貴金属も含まないため簡単・安価に合成できる 2.柔軟性をもち,薄膜状に成形することも容易である という特徴をもち,有機LED照明などに利用すると,デバイスの構造をいまよりも単純化でき,デバイス製造プロセスの簡略化・低コスト化・低エネルギー化に貢献できる。また,天井や壁一面が光る照明装置や,複雑な曲面をもつ照明装置・ディスプレイなどが実現できると期待でる。さらに,今回見いだした高分子化合物は,アモルファス状態と液晶配向状態で発光色が異なることを明らかにしており,発光色を外場で制御できる新たな機能材料としての応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述のように,これまで,単一化合物のみから白色発光を得るためには,発光部位に金原子が含まれる必要があると考えていた。しかしながら,単一化合物のみで白色発光を示す材料の発光メカニズムの解明を進める過程で,単一化合物のみから白色発光を得るために,金原子は必ずしも必要でないことを明らかにした。この結果,今回開発した材料は 1)分子構造が非常に単純であり,レアメタルや貴金属も含まないため簡単・安価に合成できる 2)柔軟性をもち,薄膜状に成形することも容易である という特徴をもち,有機LED照明などに利用すると,デバイスの構造をいまよりも単純化でき,デバイス製造プロセスの簡略化・低コスト化・低エネルギー化に貢献できる。また,天井や壁一面が光る照明装置や,複雑な曲面をもつ照明装置・ディスプレイなどが実現できると期待でる。さらに,今回見いだした高分子化合物は,アモルファス状態と液晶配向状態で発光色が異なることを明らかにしており,発光色を外場で制御できる新たな機能材料としての応用が期待できる。 これは当初の計画では予想できなかった画期的な成果であり,計画以上に研究が進展したと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後,引き続き発光機構の解明を進めていく。発光機構に基づいて合理的な材料設計を行い,より発光量子収率の大きな白色発光材料の開発やこれらのざいりょうのデバイスへの応用についての検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回,消耗品について必要量・購入業者などを精査し,効率的に執行した結果,若干の繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度は,最終年度の研究とりまとめに向けて研究進捗を加速すべく,繰越金も含めて効率的かつ計画的に執行する計画である。
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