研究実績の概要 |
ゲスト分子と共結晶することが知られているエンジニアリングプラスチックのシンジオタクチックポリスチレン(SPS)について:(I) ピリジン塩化銅、ピリジン塩化水銀などの有機金属錯体をゲストとして共結晶化させることに成功した。(II) ヒ素と定量的に反応する銀化合物をSPSと共結晶させ、更にゲル段階でヒ素吸着による呈色と銀析出をおこさせ、センサーやフィルターとしての応用に道を付けることに成功した。(III)SPSε型結晶の空隙にアニリンやピロールを導入し、さらに重合方法を模索することでSPSとポリアニリンや、SPSとポリピロールの共結晶フィルムの作製に成功した。この合成方法が、比較的低い温度での溶媒浸漬や蒸気暴露のみによるので、温和な条件でのコンポジット作製方法として提案することに成功した。(IV)SPSδ包接型結晶のゲスト分子交換を偏光蛍光強度回転角度分布法(PFR)とWAXDから追跡し、ゲスト分子交換方法について、溶媒浸漬や蒸気暴露の温度の違いによって、交換効率を高められる反面、配向性については溶媒処理などで解消される領域もあることがわかった。この知見により、ゲスト分子交換法で機能性ゲスト分子を交換する際の配向制御に道を付けることに成功した。(V) SPSε型結晶の空隙に蛍光分子を導入しPFR法を駆使することで、ε型結晶の配向性におけるフィルム作製法依存性を明らかにすることに成功した。(VI)銀ナノ粒子を均一に分散させたSPSフィルムの作製に成功し、その物性について知見を得た。(VII) SPSε型結晶の空隙に2,6-ジメチルフェノールを導入して重合することでSPS/PPOフィルムを作製し、さらにSPSとポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)(PPO)の混合率の異なるブレンドフィルムを溶液キャスト法から作製し結晶化過程について知見を得た。
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