赤色無機顔料としては、カドミウム赤、鉛丹、辰砂などが知られているが、これらには、カドミウム、鉛、水銀などの強い毒性を示す金属が含まれている。本研究では、人体に有害な元素及び環境に対する負荷の大きい元素を含まない新しい赤色無機顔料の開発を目指した。種々の複合酸化物を合成し、その色彩を評価した結果、Ce3+を発色源とすると赤色を呈することを見いだした。具体的には、SrY2-xCexO4(0≦x≦1.2)を合成したところ、Ce3+濃度の増加に伴い白色から赤褐色に変化し、SrYCeO4の組成において赤色度が最も高くなることを明らかにした。
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