研究課題
27年度に検討していた、シリル化法による六ニオブ酸ナノシート表面への蛍光分子付ssDNA修飾に関する実験をさらに進めた。再現性の確認、IRスペクトルと蛍光顕微鏡による詳細な合成確認を行った結果、確証するデータを得る事ができた。さらに、ssDNA修飾六ニオブ酸塩ナノシートコロイドに、末端に蛍光消光作用のあるBQH-1を付与した相補塩基配列をもつssDNAを添加する実験を行った。添加前では蛍光を示す物質が点在している像が観察されたが、15分後では、蛍光がほとんど観察されなくなった。このことより、ナノシート上に修飾された蛍光分子付ssDNAと、添加した消光分子付ssDNAがハイブリダイゼーションしたと考えられ、ssDNAが修飾されていることを強く裏付ける結果となった。ナノシート上に修飾されたssDNAの存在状態によっては、溶液中で進行するハイブリダイゼーションが阻害されることも懸念されていたが、問題なく反応が進行することが分かった。さらに、DNA修飾後のナノシートを溶媒に再分散させるための検討も進めており、修飾後に剥離剤を再添加して水に分散するなどの方法で、良好な分散体が得られる事が分かってきている。これらの検討結果より、今後のロジック応答等の実験を行うための前提が整ったと言える。また、新たな修飾方法として、ホスファイト法によるDNA修飾のための予備検討を行った。六ニオブ酸塩、オクトシリケート、フルオロへクトライトなどを用いた実験を行い、現在結果を解析中である。オクトシリケート系では、DNA修飾自体の進行が、蛍光顕微鏡などによる解析で明らかになりつつある。
2: おおむね順調に進展している
合成手法を確立したssDNA修飾ナノシートを用いて、①コロイド系のロジック応答の検討および、②ヘテロ積層構築の検討をおこなう予定であったが、ssDNA修飾ナノシートの合成確認や、溶媒への分散、ハイブリダイゼーション条件の検討に時間がかかり、一部にしか取りかかれていない。しかし、全体としては概ね順調で、見通しは立っている。
ハイブリダイゼーションさせるssDNAの配列の一部にミスマッチをいれるなどして、塩基配列、依存性を明らかにする。このような実験を足がかりとして、様々な配列のssDNAを修飾した各種ナノシート試料を合成し、コロイド系のロジック応答の検討やヘテロ積層構築の検討をおこなう。また、ホスファイト法によるDNA修飾実験を進め、合成手法の確立をめざす。
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