研究課題/領域番号 |
15K05658
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松嶋 茂憲 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(物質化学コース), 教授 (80229476)
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研究分担者 |
小畑 賢次 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(物質化学コース), 准教授 (70370046)
園田 達彦 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(物質化学コース), 准教授 (30403992)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光触媒 / 無機微粒子の合成 / 機器分析 / 電子構造計算 / 複合酸化物 / 可視光応答 / CaO-Bi2O3系複合酸化物 |
研究実績の概要 |
申請者らは、これまで得られてきた可視光応答性光触媒(特に、Bi系複合酸化物)に関する研究成果をさらに発展させるために、Bi系複合酸化物について以下の(1)から(4)を目的とし、研究を進めている。 (1) 低温合成・焼成時間の削減による比表面積の向上 (2) 不純物ドープ効果の明確化 (3) 理論計算の実施による光学的性質の解析 (4) 材料複合化による光酸化分解能の向上が目的である。 平成27年度の研究では、Sr2Bi2O5 への異種元素の添加効果について、理論と実験の両面から詳細な検討を実施した。まず、ヘテロ二核錯体であるSr[Bi(DTPA)]・9H2O由来のLa-doped Sr2Bi2O5の調製とキャラクタリゼーションを実施した。La-doped Sr2Bi2O5に関するXRD測定では、5 mol% Laをドープしても不純物相の生成は確認されなかった。XPS測定の結果から、各元素の酸化状態はそれぞれSr2+, Bi3+, La3+であることがわかった。ラマン分光法測定の結果から、少量のLa添加ではLaがBiサイトに固溶するが、過剰に添加すると、Srサイトにも固溶することが示唆された。UV-vis測定の結果から、BiサイトにLaをドープすると吸収端がレッドシフトすることがわかった(未添加では3.2 eVであるが、5 mol% La添加で2.65 eV, 10 mol% La添加で2.49 eVと見積もられた)。価電子帯の位置を調べるために、エネルギーダイアグラム計測を実施したところ、Laの添加量によって価電子帯上部や価電子帯下部が大きく変動することがわかった。さらに、イソプロパノールの酸化分解に関する光触媒活性を調べたところ、可視光照射下(λ ≥ 420 nm)で酸化チタンよりも高活性であることがわかった。次に、第一原理エネルギーバンド計算を実施したところ、Laを添加するとバンドギャップが狭窄化することが明らかになった。このため、Laを添加するとSr2Bi2O5の光触媒活性が改善されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、Bi系複合酸化物について、(1) 低温合成・焼成時間の削減による比表面積の向上, (2) 不純物ドープ効果の明確化, (3) 理論計算の実施による光学的性質の理論解析を目的としている。 Sr2Bi2O5 へのLa添加に関する研究成果は高く評価されており、欧文学術誌に既に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
28年度以降は、27年度の研究計画を継続して、Bi系複合酸化物(Sr2Bi2O5やCa4Bi6O13)について、低温合成・焼成時間の削減による比表面積の一層の改善を図る。また、La-doped Sr2Bi2O5を用いてp/nヘテロ接合型光触媒を調製し、光触媒活性の更なる改善を目指す。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) 研究計画の変更及び研究を遂行する上での大きな問題点は、生じていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の公表において、学会発表よりも論文投稿を優先して学会参加を延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬等の消耗品代として使用予定。
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備考 |
北九州工業高等専門学校生産デザイン工学科 松嶋・小畑研究室ホームページ http://w3-chem.kct.ac.jp/~smatsu/kenkyu_happyou/kenkyu_happyou-2001_2016.htm
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