近年、二酸化炭素の排出量の増加による地球温暖化等の環境およびエネルギー問題が、盛んに取り上げられている。持続的発展可能な社会の実現のためには、クリーンなエネルギーデバイスの開発が必要とされており、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の普及へ向けた取り組みが活発化している。このため、高性能二次電池の開発が必須であり、リチウムイオン電池等、高性能二次電池開発に注目が集まっている。 本研究では、高性能二次電池として期待の高い、リチウムイオン電池を中心に、エレクトロスピニング法を利用したナノ構造材料の開発を行っている。メソクリスタルナノワイヤーおよび単結晶ナノワイヤー等、高い結晶性と高度に制御されたナノ構造材料の作製とその合成メカニズムの解明と、出力特性や充放電サイクル特性の向上を目指した研究開発である。メソクリスタルは、単結晶と多結晶体の中間の性質を有する材料であり、電子やイオンの高い伝導性への期待と、体積変化の緩和といった期待がある。 H29年度は、リチウムイオン電池の負極材料であるSnO2/vapor grown carbon fiber/アモルファスカーボンの複合体ナノワイヤーの作製について注力し、発表も行った。また、コンバージョン負極材料であるZnOのナノワイヤーの合成や、正極材料であるポリアニオン系材料のメソクリスタルナノワイヤーの合成を試み、走査型および透過型電子顕微鏡による観察や電池特性評価を進め、メソクリスタルナノワイヤー合成のための技術と知見を深めることができた。
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