研究課題/領域番号 |
15K05668
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 洋平 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (70706936)
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研究分担者 |
薮谷 智規 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80335786)
鈴木 良尚 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (60325248)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タンパク質結晶 / 単結晶x線構造解析 / トラックエッチドメンブレンフィルター |
研究実績の概要 |
研究計画に示したように、平成27年度はトラックエッチドメンブレンフィルター(TEMF)の孔内でタンパク質結晶を作製し、それらの単結晶X線構造解析を実施した。TEMFを担体とすることで多数の結晶を一度に構造解析装置に導入し、測定毎の結晶の選別やマウント操作を簡便化することが本研究の目的の一つである。一方でTEMFの孔径により結晶サイズが規定される(申請書作成時点では孔径10 µmのTEMFを使用していた)ため、微小結晶に対して構造解析を行う必要がある。そこで、2015年1月にSPring-8での測定を実施した。この測定では、TEMF試料のマウント法と結晶サイズに関して改善の必要があることが明らかになった。具体的には、接着剤によりTEMFをクリスタルキャップに張り付けることでマウントしたが、接着剤の乾燥を待つ間に結晶が乾燥してしまうことと、クライオガスの気流によりTEMFが振動することが問題であった。加えて、結晶サイズが小さいため結晶を検索し、ビームの照射位置を決定するために多くの時間を要した。そこで、2015年12月に実施したSPring-8での二度目の測定では、2枚のワッシャーでTEMFを挟み、それらをダブルクリップで固定する方法を用いて測定を行った。これにより、TEMF試料を素早くマウントするとともに、クライオガス気流による振動も防ぐことができた。また、孔径30 µmのTEMFを入手することで、結晶サイズを確保し、光学顕微鏡による観察のしやすさの改善を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、TEMFの孔内で作製したタンパク質結晶をx線構造解析装置で測定するために、メンブレンフィルターをマウントするための器具が必要となった。そこで、クリスタルキャップとクリップ、ワッシャーを組み合わせることでメンブレンフィルターのマウントに適した器具を作製することができた。SPring-8での測定で得られた回折像については、近日中に解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
TEMF孔内とバルク相では結晶成長条件や速度に有意な差があるとの予測に基づき、孔内での選択的な結晶成長を進行させることが可能かを検証することも研究目的の一つである。この内容に関してより注力し、研究計画に沿って実験を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会への参加回数が少なったことに加えて、公用車に乗り合わせて移動することで予定と比較して旅費が抑えられた。また、試薬もこれまでに使用していた試薬を利用することで、新規の購入が抑えられている状況であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬類は定期的に購入し、補てんする。光学顕微鏡類など高額物品についても充実を図る。
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