研究課題/領域番号 |
15K05680
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
河村 隆介 宮崎大学, 工学部, 教授 (70234135)
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研究分担者 |
尾上 幸造 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (50435111)
長瀬 慶紀 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90180489)
友松 重樹 宮崎大学, 工学部, 助教 (30315353)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 固体顕熱蓄熱槽 / モルタル円筒蓄熱ブロック / フェロニッケルスラグ / 蓄熱量 / 平面軸対称非定常熱伝導数理解析 / 蓄熱特性 / 非定常状態 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究では,固体顕熱蓄熱槽におけるフェロニッケルスラグを細骨材としたモルタル円筒蓄熱ブロックの蓄熱特性の解析および評価を目指し,以下の課題に取り組んだ. (1)固体顕熱蓄熱槽の製作 蓄熱槽は鉛直に設置された外径510mm,長さ1400mmのガルバリウム製缶体,円筒蓄熱ブロックを充填する直径128mm,長さ1000mmのステンレス製ダクト管,ダクト管の上下端に取り付けるステンレス製片落管,ダクト管の外周を巻く高温用耐火繊維製ブランケット断熱材,缶体両端のフランジに取り付けるガルバリウム製中空円板の蓋からなる.ダクト管両端には,熱風発生機や排気用フレキシブルパイプが取り付けられる. (2)モルタル円筒蓄熱ブロックにおけるフェロニッケルスラグの配合の検討 熱風発生機の高温空気をダクト管に流して,ブロックの蓄熱試験を行った.フェロニッケルスラグの配合の異なる3種類のモルタル円筒蓄熱ブロックを60分間加熱した際の蓄熱量を,ブロックに取り付けたシース熱電対によって測定された温度変化から求めた.ブロックに100,200,300℃の温度変化を与えた.フェロニッケルスラグの体積分率が大きくなるとブロックの蓄熱量は増大する一方,モルタルのフロー値が低下するため,ブロックの製作上の配慮が必要となることが明らかになった. (3)モルタル円筒蓄熱ブロックの数理解析モデルによる蓄熱特性の評価 内外両表面から媒体加熱を受ける中空円筒を対象とした平面軸対称非定常熱伝導問題の数理解析結果に基づき数値計算を行い,ブロックの蓄熱量に及ぼすフェロニッケルスラグの体積分率による影響を考察した.ブロックの比熱容量はフェロニッケルスラグの体積分率が高くなるほど小さくなるが,熱伝導率は高くなる.その結果,定常状態と非定常状態ではフェロニッケルスラグの体積分率による蓄熱量の変化が異なることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェロニッケルスラグを細骨材としたモルタル円筒蓄熱ブロックを充填するための固体顕熱蓄熱槽を製作,蓄熱試験を実施し,蓄熱量を最大化にするフェロニッケルスラグの配合を検討した.さらに,媒体加熱を受ける中空円筒を対象とした平面軸対称非定常熱伝導問題の数理解析結果に基づき数値計算を行い,ブロックの蓄熱量に及ぼすフェロニッケルスラグの体積分率による影響を考察し,定常状態と非定常状態ではフェロニッケルスラグの体積分率による蓄熱量の変化が異なることを明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
耐熱温度を向上させた蓄熱材料を用いた円筒蓄熱ブロックの蓄熱試験を実施し,その蓄熱特性を数理解析に基づく数値計算により検討する.また,太陽光を熱に転換する受熱器を製作し,固体顕熱蓄熱槽をビームダウン式太陽集光装置に実装する.フィールド試験を実施して,固体顕熱蓄熱槽の蓄熱特性のデータを取得する.本研究により開発された固体顕熱蓄熱槽の蓄熱性能やエネルギー効率の評価を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者1名の物品費に残額(2179円)が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
残額(2179円)を上記の研究分担者の次年度研究経費として組み入れを希望する。
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