研究実績の概要 |
本研究では,中間層射出による新規異種プラスチック溶着法の開発を大きな目的としており,化学構造・熱物性・モルフォロジー・高次構造を制御した中間層マテリアルデザインを達成するために,平成27年度は種々の異種プラスチック接合体の接合強度に及ぼす中間層構造のモルフォロジーおよび高次構造の影響を解明することを達成目標とした. 平成27年度は,非相溶な組み合わせの中でも比較的接合が容易なPC-PMMAと接合困難なPOM-PMMAを接合対象とし,中間層材料には各々のブレンド材を用いることとした.ブレンド材は,PC/PMMAの場合,ブレンド比をPC:PMMA=95:5, 75:25, 50:50, 25:75, 5:95とし,POM/PMMAの場合,ブレンド比をPOM:PMMA=95:5, 75:25, 50:50, 25:75, 5:95として,二軸押出機を用いた溶融混練により作製した. 結果として,PC-PMMA接合の場合,中間層PC/PMMAブレンドにおけるPMMAの割合を0~25wt%まで増やしていくと,接合強度が向上していき,最大強度約49MPaを示し,それ以上の割合では低下傾向を示すことがわかった.すなわち,中間層をPC/PMMAブレンドにすることで,両母材の物性差を緩和することができていることが推測される.また,その断面の顕微FT-IRマッピングを行った結果,接合対象であるPC,PMMA特有のピークが中間層材料にも現れ,そのピーク強度の差が小さいとき,最も高強度を示すことが分かった.POM-PMMAについては,中間層POM/PMMAブレンドにおけるPOMの割合が95wt%となるとき,最も高い強度を示す結果となり,高強度を示す中間層の構造についてはPC-PMMAとほぼ同様な傾向が見られた.
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