研究実績の概要 |
本研究では,中間層射出による新規異種プラスチック溶着法の開発を大きな目的としており,化学構造・熱物性・モルフォロジー・高次構造を制御した中間層マテリアルデザインの達成を目指している.本年度は,前年度の知見を活かして中間層を調整し,その特性を,分子レベルの特性評価から判定した.さらに,接合体界面近方の微小領域力学特性マッピングおよびイメージングを行い,相互拡散性を評価した.以上より,中間層調整による中間層特性の変化とそれより得られる接合界面構造形成機構の解明を達成目標とした. 接合対象は,前年度と同様に,非相溶性であるポリカーボネート(PC),ポリメチルメタクリレート(PMMA)とし,中間層材料には各々のブレンド材を用いることとした.ブレンド材は,PC/PMMAの場合,ブレンド比をPC:PMMA=95:5, 75:25, 50:50, 25:75, 5:95とし,POM/PMMAの場合,ブレンド比をPOM:PMMA=95:5, 75:25, 50:50, 25:75, 5:95として,二軸押出機を用いた溶融混練により作製した. 結果として,中間層に両者のブレンド材を用いたPC‐PMMAの接合では,中間層組成がPC:PMMA=75:25で最大強度を示し,射出温度と速度を高くするほど強度が高くなることがわかった.また,強度の高い条件では,接合界面領域において被接合体と中間層でメチル基同士が絡み合い,化学的物性差を小さくすることが分かった.さらに,超微小硬度計により微小領域力学特性マッピングを実施した結果,強度の高い接合体の界面近方は力学的物性差も小さいことが明らかになった.
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