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2015 年度 実施状況報告書

局所力学特性評価に基づく超長寿命領域の水素助長き裂進展機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K05686
研究機関青山学院大学

研究代表者

小川 武史  青山学院大学, 理工学部, 教授 (50167318)

研究分担者 蓮沼 将太  青山学院大学, 理工学部, 助教 (50709764)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード構造・機能材料 / 材料強度 / 水素 / 超音波疲労 / インデンテーション法
研究実績の概要

近年,地球温暖化の影響が一段と顕著になり,日本国内においても影響が出始めている.原因の一つである二酸化炭素の発生を抑制するために,水素と自然エネルギーの利用があげられる.しかし,水素は金属材料に浸入し,脆性破壊を誘発する物質であり,疲労破壊強度も低下させる.水素を原因とした疲労破壊は,風力発電の軸受でも問題となっている.したがって,水素が疲労強度を低下させる機構を解明しておくことが必要である.研究代表者は,局所力学特性評価の試験技術としてインデンテーション法に着目して評価法を開発してきた.本研究の目的は,この局所力学特性評価法を水素誘起破壊の機構解明に適用し,低炭素社会を実現するための実構造物および製品の開発を促進させ,安全な水素社会の実現を目指すものである.
平成27年度の研究では,超音波疲労試験機を種々の環境に適用できるように改修した.平成26年度までの研究で,湿潤大気中の超高サイクル疲労き裂進展試験で水素の影響が発生したのでデータの拡充を行う.一方,乾燥空気中の試験を行うことを整備した.この機能追加のために乾燥空気供給装置を導入した.本装置では,静的負荷装置を備えた超音波疲労試験機のピエゾアクチュエータから,20kHzの超音波振動が励起され,共振状態となって平均応力を付与した疲労負荷が試験片に与えられる.平均応力付与を用いて,高応力比における疲労き裂進展の下限界値を求める検討を進めた.
また,インデンテーション試験方法を高度化させた.原子間力顕微鏡(AFM)を用いて圧痕観察を行うと平面寸法が1μm程度の圧痕でも鮮明に寸法測定ができる.AFMで観察した圧痕から超微小領域の局所力学特性の評価を行うことを可能にした.寸法効果のメカニズムを解明するための組織観察用試料を作成するために,精密切断機とレーザー形状測定センサを導入した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

インデンテーション法の高度化については,検討が順調に進んだことから,論文投稿を行った.超音波疲労試験に関しては,アルミニウム合金の湿潤大気中の結果が得られた.いずれの成果についても,平成28年度中に学会発表を予定している.アルミニウム合金の乾燥空気中の実験については,装置の整備が終わったが,本格的な実験は平成28年度に行うこととした.

今後の研究の推進方策

アルミニウム合金の超音波疲労試験については,乾燥空気中の実験を加え,異なる材料の実験を行い,データの拡充を行う.また,軸受鋼の超高サイクル疲労に及ぼす水素の影響ついても検討する.破壊機構の検討にインデンテーション法を用いる.

次年度使用額が生じた理由

アルミニウム合金の乾燥空気中の実験を平成28年度に行うことにしたことから,これに用いる試験片などの消耗品費が次年度使用額となっている.

次年度使用額の使用計画

平成28年度分として請求した助成金と合せて,消耗品および旅費としての使用を予定している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 硬さ試験による炭素鋼の局所力学特性の推定と配管溶接部への適用2016

    • 著者名/発表者名
      中島弘毅,齋藤裕樹,蓮沼将太,小川武史
    • 雑誌名

      圧力技術

      巻: 54 ページ: 16-24

    • DOI

      http://doi.org/10.11181/hpi.54.16

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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