前年度に引き続き、工作機械主軸に取り付けたカメラおよびラインレーザー光源を用いて加工対象物の切削加工直前の表面形状を高速に取得するシステムの開発を行った。特に、本年度は、1.実加工に近い送り速度条件下で形状を取得するための画像処理アルゴリズムの開発と、今後、適用が期待される、2.金属積層造形品に対する表面形状取得性能の向上、および、3.同時多軸制御加工機への搭載と商用CNCコントローラとの連携機能の開発を目的として研究を行った。 1.の成果では、CPUおよびGPUによる並列計算処理をラインレーザの反射位置を推定する画像処理アルゴリズムに導入し、一ラインあたり約80msecで三次元点群の再構成を行い、立体形状を推定することを可能とした。 2.の成果では、積層造形後に高い硬度を有する熱硬化層を切削によって除去する必要のあるワイヤアーク積層造形手法を対象とした実証実験において、±1.0mm程度の誤差でワークの積層面形状を取得することが可能となっており、仕上げ加工時の過大切削力作用を予測するのに十分な計測制度を実現することが可能となった。 3.の成果では、FANUC社のCNCコントローラの有する外部通信機能と連携し、工作機械の各軸の座標を逐次取得してこれをもとに画像処理から得られた主軸座標系上での三次元点群座標をワーク座標系に変換し、ワーク座標系上での加工対象物の概略形状を取得するすることを可能とした。
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