研究課題/領域番号 |
15K05712
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
松坂 壮太 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30334171)
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研究分担者 |
森田 昇 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30239660)
比田井 洋史 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60313334)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガラス / イオン交換 / 電圧印加 / 金属析出 / 内部配線 |
研究実績の概要 |
本研究は,順・逆電圧印加を併用した固体イオン交換法によって,ガラス中の任意の箇所に所望の形状を有した金属層を形成すること,および製作した内部に配線を有するガラス基板を電子回路へ適用することを目的としており,平成27年度は主として,以下の3点に関する研究開発を実施した. (1)真空容器の増設による実験の効率化と実用的サイズへのスケールアップ:実験装置の拡充により,サンプル作製効率と再現性の向上を図った. (2)逆電圧印加初期の金属層析出過程の明確化:金属イオン添加後の逆電圧印加時間を変化させて金属層析出を行い,初期析出物の生成位置や形態を明らかにした.また,生成した析出物の成長過程を観察するとともに,ガラス内部に広がる析出物の位置制御手法を提案した.さらに,これらの結果,および透過型電子顕微鏡による析出物周辺の観察結果から,金属層析出メカニズムの検討を行った. (3)析出物の狭ライン・狭ピッチ化のための添加手法の検討:従来法である金属箔からのイオン添加に加えて,金属ペーストをイオン供給源として使用した実験を行い,添加・析出挙動に対する影響を検討した.その結果,金属箔の場合に比べて空間分解能の高い添加・析出が可能となった.しかしながら,添加深さが浅く,また析出物の密度が十分ではなかったため,導電性を有した析出層の形成は困難であった.今後は金属含有量の高いペーストの使用を検討するなどの対策を検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属ペーストの使用による析出物の狭ライン化・狭ピッチ化については,現状では導電性を有する析出物が形成できておらず,期待したほどの効果を挙げられていないが,金属含有量と溶剤の割合の異なるペースト等の使用により,克服できるものと考えている.また,金属層の析出メカニズム解明については,概ね当初に想定した範囲内の結果が得られている.現在,ガラスの内部構造を新たな手法で解明すべく検討を進めており,本研究課題は順調に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は以下の方針に沿って研究を進める予定である. (1)金属層析出メカニズムの解明:前年度に引き続き,金属層析出メカニズムの解明を図る.具体的には,析出物周辺の透過型電子顕微鏡観察を実施するとともに,陽電子消滅法を用いてイオン添加・金属層析出に伴うガラス内部ネットワーク構造の変化を計測し,析出物の生成プロセスを解明する. (2)数値解析による金属層の析出形状制御に関する検討:ガラス中に析出する金属層は,巨視的には添加金属の形状がそのまま転写されるが,上下電極間での電場の広がりやイオン拡散によって,添加領域端部においては析出領域の広がり(滲み)が生じる.そこで,イオン交換中のガラス内部でのイオン拡散と電場の変化を連成した解析を実施し,析出物の狭ライン・狭ピッチ化のための電極形状の最適化を図る.
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