研究課題/領域番号 |
15K05716
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
篠塚 淳 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30282841)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 切削 / 温度 / 切削力 / 切りくず / 計測 / 流動応力 / FEM |
研究実績の概要 |
本研究は,旋削過程のせん断域の過酷な変形場(高ひずみ,高ひずみ速度,高温)をうまく利用することで,材料の流動応力特性を推定するシステムの構築を目的とする.昨年度までに,流動応力特性推定システムに必要不可欠なデータである,切りくず形状,切削力,工具-切りくず接触界面の温度分布,切りくず自由表面の温度分布を汎用旋盤における旋削試験により得られることを確認した.ただし,切りくず自由表面の温度分布は市販の赤外線サーモグラフィーカメラで撮影することで得るが,旋削中の切りくず流出により赤外線カメラが破損しないように,刃先点とカメラレンズまでの距離を250mm程度は離す必要があり,このため倍率が低下し,解像度が落ちることになってしまった.そこで昨年は,市販のGeメニスカスレンズを刃先点とカメラレンズの間に入れることで,倍率を稼ごうとしたがあまり良い結果とはならなかった.そこで,今年度は,市販の赤外線サーモグラフィーカメラのレンズを取り去り,新規にレンズ計を設計し,自作のカメラレンズシステムを構築した.赤外線を透過する材質で作られた汎用の市販のレンズは少ない.凸レンズはゲルマニウム製のレンズが比較的多く出回っているが,凹レンズは選択肢が極めて少なく,セレン化亜鉛製のレンズのみ市販されているようである.そこで,汎用のレンズ設計ソフトを用いて,F=100mmのGe平凸レンズとF=-100mmのZnSe平凹レンズを組み合わせた2枚レンズ系の赤外線カメラレンズシステムを開発した.作成したレンズ系で,刃先点とカメラレンズまでの距離を265 mm離して,倍率1.3~1.4倍で刃先点の様子を撮影できるようになった.またシステム構築に必要なFEM切削シミュレーションについては,反復収束法のアルゴリズムを利用し,加工硬化係数のみを変更することで解を得るようプログラムを開発中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
旋削試験により,解析の境界条件となる,切りくず形状,切削力,工具-切りくず接触界面の温度分布,切りくず自由表面の温度分布,を詳細に把握できるツールを隔離したため.またFEMシミュレーションについても,まだ確固たる結果はでていないがアルゴリズムの検討とプログラム作成は順調に進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるでの,FEM解析のツールを完成させ,定常流れ型切りくずを生成する条件で,提案するシステムにより,高ひずみ,高ひずみ速度,高温環境下の流動応力特性を推定することができるか検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の収支差額は250円の残である.当初計画した計算機も購入し,ほぼ計画どおりに支出した.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算は,研究計画書どおりに使途する予定である.今年度の残250円は,消耗品等で支出する.
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