研究課題/領域番号 |
15K05723
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大久保 雄司 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10525786)
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研究分担者 |
山村 和也 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60240074)
柴原 正文 兵庫県立工業技術センター, 材料・分析技術部, 主席研究員 (80470219)
長谷 朝博 兵庫県立工業技術センター, 材料・分析技術部, 上席研究員 (10470220)
本田 幸司 兵庫県立工業技術センター, 材料・分析技術部, 主任研究員 (20553085)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) / 密着強度 / 大気圧プラズマ処理 / 加熱 / 表面温度 / 脆弱層 / 銀インク / 銅ペースト |
研究実績の概要 |
H28年度は、(1)プラズマ処理後のPTFEの材料分析、(5)PTFEと金属箔(金属板)との接合、(6)PTFE以外の樹脂と異種材料との接合、以上3点の課題について研究を進めた。 (1)の課題については、熱アシストプラズマ処理したPTFEの固体NMR測定をおこなった。熱アシストプラズマ処理したPTFEにおいては架橋を示すピークは観察されなかった。改質層が非常に薄いことが示唆された。改質層の厚さを定量化するため、GCIBによりマイルドにエッチングしながら、XPS測定をおこなった。エッチング前は架橋を示すC-C結合のピークと酸素を含む官能基が観察されていたが、エッチング時間の増加に伴ってそれらのピークは消失し、CF2のピークのみが観察されるようになった。エッチングレートから改質深さを算出することに成功した。これらの結果より、熱アシストプラズマ処理は、バルクの性質を保ったまま、表層のみを改質できていることを実証した。 (5)の課題については、金属箔ではないが、無電解銅めっき膜、銀インク膜、銅ペースト膜を熱アシストプラズマ処理したPTFEと接着剤フリーで強力接着することに成功した。銀インクのインクジェット印刷により銀配線の直接描画を、銅ペーストのスクリーン印刷により銅配線の直接描画をPTFEシート上で実現した。PTFEシートを折り曲げても金属配線が剥離することはなく、高密着でフレキシブル基板にも対応可能であることを示した。 (6)の課題については、PTFE以外の樹脂として、FEP、PFA、ETFEを対象材料として、熱アシストプラズマ処理をおこない、ブチルゴムとの密着性を評価した。いずれの樹脂においても、剥離試験中にブチルゴムが材料破壊し、極めて密着性が高いことがわかった。また、プラズマ処理中の最適温度はそれぞれの樹脂ごとに異なることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・金属との強力接着にも成功しており、配線パターニングまで実現したため ・PTFE以外の樹脂でも成果が上がっており、最適温度が異なることまで明らかにしたため
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今後の研究の推進方策 |
当初の課題をほとんど解決できている。今後は、密着性向上のメカニズム解明に注力する。特に異種材料の界面観察(断面観察)を重点的におこなう予定である。また、ゴム中の添加剤が密着性に及ぼす影響について調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
・実験の推進を最優先し、出張等を控えたため、必然的に旅費が抑えられたため ・予定していた依頼分析(有償)の難易度が非常に高いことがわかり中止になったため
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次年度使用額の使用計画 |
・得られた成果を国内外へ積極的に発表する、および論文化する予定である。 ・界面の結合状態を明らかにするため、別の手法を検討し、分析を依頼する予定である。
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