研究課題/領域番号 |
15K05724
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆太 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60376861)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NC工作機械 / 切削加工 / 振動 / 切削力 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では,工場における生産設備の中核を占める数値制御工作機械について,加工される部品の形状精度,面品位,および加工に要するエネルギを事前に予測するためのシミュレーション方法を確立し,世界に先駆けた高度なバーチャルファクトリの実現に寄与することを目的としている. 平成27年度には,主軸および送り駆動系の運動と切削力との連成シミュレーションを行うための技術を確立することを目指して研究を遂行した.そのために,送り駆動系モデルから得られる各軸の位置または角度を座標変換することで計算される主軸端-テーブル間の相対位置および姿勢と,主軸駆動系モデルにより計算される工具回転角度とを切削力モデルに入力し,時間ステップごとに切削力を計算できるようにした.これにより計算された切削力から各軸方向の切削反力および切削トルクを計算して主軸および送り駆動系モデルの外乱として入力することで,次の時間ステップにおける位置および角度は切削力による影響が反映されたものとなり,これを繰り返すことで,主軸および送り駆動系の運動と切削プロセスとの相互作用をシミュレーションにより表現できる. 実際に切削試験を行い,そのときの切削力,主軸回転数およびトルク,送り軸の速度変動およびモータトルク,主軸頭の加速度を測定してそれらのシミュレーション結果と比較した結果,工作機械の数学モデルに考慮していない振動モードに起因する振動を除き,切削力の変動により生じる機械振動とそれにより生じる切削力の変動とを開発したシミュレーション方法で的確に表現できることを確認した. このほか,機械構造の振動も考慮したシミュレーションを行うために必要な数学モデルについての論文を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度には主軸および送り駆動系の運動と切削力との連成シミュレーションを行うための技術を確立することを目指して研究を行い,そのために必要な技術課題に取り組んだ.その結果,連成シミュレーションを行うための基本的な技術を確立することに成功し,実験とシミュレーションを比較することでその有効性を検証できた. このほか,機械構造の振動も考慮したシミュレーションを行うために必要な数学モデルについての論文を発表したほか,びびり振動が生じると主軸の駆動トルクが減少し,その結果消費電力も減少する現象を見出した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,びびり振動などの異常な切削状態における切削力や機械振動をシミュレーションし,その結果創成される加工面についてもシミュレーションを試みる.そのために,機械構造や主軸系の振動特性も考慮した数学モデルを用いて切削力との連成シミュレーションを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
切削試験に使用する工具や被削材について,切削条件を工夫して効率的に使用した結果,当初の予定よりも少ない金額で必要な実験を完遂できた.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の余剰分を用いて国際会議に参加し,研究成果を発表する.
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