研究課題/領域番号 |
15K05731
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
松井 伸介 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50612769)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | AFM / ポリシング / メカノケミカル |
研究実績の概要 |
形状の明確なAFM触針先端を研磨における砥粒のナノ形状切れ刃とし、AFMシステムによりその切れ刃を制御し、研磨と同様に液中でナノスケールのスクラッチ加工することにより、研磨の基礎過程を明らかにすることを目的としている。触針としてシリカを用い、石英製の光ファイバにスクラッチ加工をpH11.5のアルカリ雰囲気で加工すると、加工量が大きく増えたにも関わらず加工ダメージは純水中での加工と同様ほとんど発生しなかった。また、この際の触針摩耗量と加工量も純水中の加工と同様ほぼ同量であることがわかった。これらは、シリカ触針で石英を加工する場合やはり同種の材料がお互いに摩滅しながら加工することの証拠となると考える。 アルミナ触針は、今までの検討で純水中ではほとんど加工しないことを確認したが、アルカリ中では、加工することが明らかとなった(通常の研磨においても研磨液はアルカリに調整されている)。この際、加工量に対し摩耗量はモル換算で少ないこと、および反射減衰量から比較的小さな加工ダメージが形成されるなどの新しい知見を得ることができた。一方ダイヤモンド触針でアルカリ雰囲気中で加工をすると加工量は増加したが加工ダメージの変化はあまりなかった。これらのことは研磨における化学効果とその結果としての加工ダメージ形成のモデル・メカニズムを考察するうえで重要な実験結果と考える。また、さらに多くの材料への研磨技術の適用を目指し、SiC単結晶、GaN単結晶の準備をするとともに、SiCについてはAFM触針の作製も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料の準備、触針、雰囲気を変えた個別の実験はおおむね行えたが、この段階でAFMの故障が発生し、現在修理、復旧を急いでいる。これにより、触針、雰囲気を変えた個別実験については、有意義な実験結果が得られつつあるが、予定の検討まで行えていない。復旧を急ぐとともに、スクラッチの高速化、低速研磨等の次の検討に向けて準備も急ぐ。これによりバランスよく、効率的に研究目的に近づくようにする。
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今後の研究の推進方策 |
まだ検討を行っていない材質を含めた各種触針による液雰囲気を変化させた時の加工特性の変化をさらに検討する。さらに光ファイバの石英以外の材質のスクラッチ加工も行う。この場合の加工ダメージの評価について検討を行う。また、これらに先行させて、併せてAFMの修理・整備を行う。さらにスクラッチの高速化、および低速研磨検討実験についても検討をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進展状況により一部購入しなかったものが発生した。できるだけ実験に合わせて購入する必要があり次年度への支出となった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験の進捗に合わせ速やかに使用するようにする。具体的な購入予定のものはAFM触針、SiC基板である。
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