研磨加工における各種砥粒切れ刃に見立てた、形状の良くわかったAFM触針をAFMシステムによって加工荷重と加工運動を制御しながら光ファイバ端面にナノ・マイクロ加工を行うことによって、研磨における非常に小さな切れ刃と披加工材との干渉という素過程を明確に制御された状況で再現し検討した。先端半径0.1μmの微小なダイヤモンド触針による加工では、加工荷重50μNでは3nm、130μNでは4.5nmと上昇し、検討の結果荷重によってほぼ線形に加工量は増加することがわかった。また、加工量が増えると、加工変質層の厚さも増加することもコネクタ端面の光学特性測定から判明した。そこで、今回改めて他の材種の触針についても荷重依存性を検討した。その結果、シリカ、セリア、ジルコニア等の純水中で加工が可能な触針では、やはり加工荷重の上昇ともに、加工量は増加した。しかし、加工変質層は増加しなかった。これは、これらの材種による加工において以前から主張している化学的な効果が大きいことの傍証となる。また、アルミナは、50μNでは加工しなかったが、80μNではわずかに加工し若干の加工変質層も形成された(反射減衰量で55dB以上から53dBへ低下)。しかし加工量は0.4nmとわずかであり、以前のpH10での2.9nmと大きく異なる。pH10の液中の場合、この加工量でも、反射減衰量は51dB程度を維持しており、やはり純水中とアルカリ溶液中では、アルミナ砥粒のシリカへの化学的効果が異なると考えられる。アルカリ雰囲気では触針磨耗モル数に対する加工モル数の比は、8.4となり純水中でのセリア触針の37に次ぐ大きさで、続いて純水中でのジルコニアの4.8となり、アルカリ溶液中のアルミナ触針による加工が化学的な効果が大きいことがわかる。今後は、光ファイバ(石英)以外の材料基板への加工も目指していく。
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