研究課題/領域番号 |
15K05733
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
瀬川 明夫 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (10298325)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生産工学 / 成形加工 / 酸化スケール / 圧延加工 |
研究実績の概要 |
先進率測定において,酸化スケールが薄く生成した場合を想定し,4μm以下での生成を行った結果.想定厚を下回る結果となった.研究当初より酸化スケール厚のしきい値同定を意図しているが,酸化スケール厚が薄い場合の再現性に課題があることが判明した. 実験条件を再考し,酸素供給源であるヘマタイトビレットの質量と,酸素放出量の関係を探索した結果,真空加熱炉内での加熱時間と母材となる鋼板表面積の違いによって,ヘマタイトビレットからの酸素放出量が当初想定値と異なることがわかった.これは,母材に酸化スケールが生成する際の酸素圧と解離圧において,真空加熱炉内で熱力学的安定状態が発現し,ヘマタイトからの酸素放出量が少なくなったものと推察される.この現象はヘマタイト量が少ない場合,すなわち生成酸化スケール量が小さい場合に顕著でるため,従来の校正曲線の修正が必要となった. 今年度は,「酸化スケール生成量の体積変換」と「母材鋼板表面積」を考慮することで,校正曲線の適用範囲拡大を図り,さらに広範囲の実験条件に対応させるとともに,酸化スケール生成量定量化の精度向上を達成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化スケール生成量の推定に対して,より広範囲の実験条件に対応可能となった.酸化スケールを生成させる母材が異なる場合においても,母材そのものの表面積での定量化ができる.また,必要となるヘマタイト量もより高精度で算出できる状態となった.
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今後の研究の推進方策 |
先進率の測定とあわせ,ロールコーティングの観察をより広範囲の実験条件で継続する.今年度の成果より,真空加熱炉内での加熱時間がヘマタイトより放出される酸素量に影響することも予見されたため,真空加熱炉内での素材そのものの温度実測を試みる.併せてロール表面温度の測定も進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究試料の購入に際して,試料寸法の変更により見積額に差額が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究試料(鋼板)の補助としたい.
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