研究課題/領域番号 |
15K05737
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
上森 武 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70335701)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | バウシンガ効果 / 降伏曲面 / 残留応力 / 大ひずみ / 材料モデル |
研究実績の概要 |
研究目的:自動車業界を中心に,車体軽量化と衝突安全性対策の観点から様々な金属材料のプレス成形品が使用され始めている.しかしながら,超高張力鋼板やアルミニウム合金板などは,プレス成形後に板材内部に発生する残留応力とそれに起因するスプリングバック変形に悩まされている.本研究では,板材矯正過程-プレス成形過程-スプリングバック過程という一貫成形(大ひずみ変形)過程において,金属材料内部の残留応力と変形形状を高精度に計算するCAE(FEM シミュレーション)の構築とその実験検証を目的とする. 本研究の特徴は,開発する材料モデルが大ひずみ域における①バウシンガ効果と②降伏曲面形状変化を再現でき,結果として得られる③残留応力値が定性・定量的に正しいユーザーフレンドリーなシステムを構築する点である.そこで,本研究では,大幅なコンピュータの高速度化を背景に,金属塑性加工の一貫成形工程を再現可能とする大ひずみ域高精度材料モデル(応力-ひずみ関係式)の開発ならびにその有用性の確認を行う.その後,開発した材料モデルを汎用FEMに導入,種々の塑性加工工程の数値解析を行う.数値解析で検討する事項としては,前に述べたシステムのユーザーフレンドリーさと解析結果(特に計算された残留応力値)の正確さを検討する.得られた成果である高精度材料モデルを導入した汎用FEMは,可能な限り早急にソフトウェアメーカーの協力のもと,誰もが使用できる商用ソフトウェアとして社会に還元することで,工業的製品の成形検証に使用できるようにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題は昨年10月に申請受理を受け,その後その予算が昨年11月に執行可能となりましたが,研究に必要な機器装置は非常に特殊なため,その発注が遅れ,機械の納期が遅延しております.それ故,本申請で予定していた材料試験が現状できておりません.しかしながら,高精度材料モデルならびに数値解析ソフトウェアの方の開発は順調に進んでおり,今後材料試験結果を検討しながら,修正ならび改善を行うことで,当初予定していた研究計画に一刻も近づけるように対応して行きたいと考えております.
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今後の研究の推進方策 |
研究活動が遅延しておりますので,材料試験用機器装置の導入ならびにその実験を今年度早急に行います.今年度導入する材料試験装置は,金属材料の大ひずみ域における繰返し反転挙動を観察する装置として繰返し曲げ試験装置とする予定である.塑性加工においては,金属材料の平坦度を担保するためにレベラ矯正過程(繰返し曲げ変形)により,板材内部に繰返しの応力反転を付与している.本装置はその工程を再現するために曲げ変形工程を再現可能であり,更には金属材料に付与できる累積塑性ひずみ量が大きいため,本研究申請理由と合致していると判断している.
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次年度使用額が生じた理由 |
若干の差引額が発生した原因は,本年度の研究費決定が11月となり,実験装置発注が年度内に間に合わなかった為です.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度,発注が間に合わなかった装置に関しましては今年度に発注・納品可能となるよう手配中です.
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