入熱のない塑性接合を実施した場合,塑性変形領域が凸凹状態となり,部品の取り付け字に不利となる.今回の研究では,新たに板鍛造接合を開発し,フラットな接合法の研究に取り組んだ.通常の板材の成形は曲げ,延ばし,絞り,しごきなどの加工が主であるが,今回の研究では板厚方向にパンチを押込む鍛造工程を採りいれ,接合を試みた.今回の研究により二つの加工法を考案できた.一つは押出し加工と据込み加工の二つを用いる接合法である.据込み加工によるフランジ形成をを行うため,わずかな突起が出来るが,高強度な接合体を得られた.他の工法は押出し加工のみで成形する加工法である.この工法は,厚い下板時に適用が可能となる.インターロック量が小さいため,接合体の強度は小さいが,同時に多打点の加工が可能なため,将来有望な接合法に発展が期待される.本研究では,異材金属体の接合,マルチマテリアル材の接合も試みた.特にメカニカルクリンチングやセルフピアシングリベットでは接合が困難な板組である超高張力鋼板とアルミ合金板の接合が実現できている.この結果は,機械学会北信越支部講演会で発表し,注目を集めた.さらに,近年着目されているマルチマテリアル材の接合も検討を試みた.特にCFRP板とアルミ合金板の接合では接合部付近のCFRP材の割れが生じているが,接合が出来ている.今後はCFRP材の割れが生じない健全な接合体を目指してさらに研究を進めていく予定である.
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