研究課題
モスアイ構造を有するNi-W金型を開発する上で,以下の4点を検討する必要がある。①原盤の導電性について。②Ni-W膜に生じやすい亀裂の抑制。③Ni-W金型のW含有率が20at.%付近であること。④原盤からNi-W金型の取り出し方。昨年度までに①から④に関する課題を解決したが、Ni-W金型にそりが生じた。ガラスナノインプリントにおける加熱温度は500~600℃であり、Ni-Wの結晶構造はNi4Wとなりやすい。Ni4Wは脆性破壊を示すため,ガラスナノインプリントにNi-W金型を使用するには、そりを抑制し、脆性破壊を回避する必要があると考えられる。一方、ガラスの代替え案として科研費申請時に提案したアルミニウムは近年局在表面プラズモン共鳴(Localized Surface Plasmon Resonance:LSPR)デバイスの材料として注目を集めている。そして、アルミニウムに対して、シリコンカーバイド製金型を用いた室温ナノインプリントが報告されている。そこで、Ni-W金型を用いたアルミニウムの室温ナノインプリントが可能か検証した。その結果、アルミニウム表面にナノ周期のホールパターンを転写できた。圧力は100MPaであり、加圧時間の影響は小さいことを確認した。しかし、樹脂を対象としたナノインプリントの圧力が5~10MPaであることに比べて、アルミニウムの室温ナノインプリントの圧力は10倍以上と大きいため、圧力を軽減する必要がある。本技術は光学デバイスやバイオセンサーなどアルミニウムを用いたLSPRデバイスの開発に貢献できると考えられる。
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