研究実績の概要 |
液体架橋が介在する二面が相対運動するとき,架橋の変形あるいは固液濡れ界面の移動を原因とする摩擦抵抗が働くことが知られている.本研究では,固液界面の移動を精密に捉えることで架橋の変形の程度を見積もり,摩擦抵抗との関係を調べることを目的としている. 液体架橋のせん断過程を解析的に捉えるために,粒子法(SPH,Smoothed Particle Hydrodynamics)を用いた数値解析手法を開発した.この方法は,気液界面の大変形を捉えるのに適した方法で,液体架橋がせん断されて,傾き,引き伸ばされる過程を捉えるのに成功した.また実験との比較においても摩擦抵抗と架橋の変形の関係について定量的に一致した結果が得られた.これらの成果を,World Tribology Congress (WTC 2017)において公表した(Kentaro Tanaka, Katsumi Iwamoto,"Numerical Simulation of Shearing Liquid Bridge"). 昨年度までに実施した実験の結果および上述の数値解析により,接触線の運動が重要であることが明らかになった.これを精密に観察するために,干渉縞を利用した接触線近傍の接触角・接触線を観察する装置を開発した.運動面の下方から照射したレーザ光が,固液界面および気液界面で反射する際の光路差による干渉縞により,接触線の運動と従来の方法では捉えるのが難しかった,極めて小さい接触角の評価が可能になった.これらの成果をWTC2017で公表した(He Li, Kentaro Tanaka, Katsumi Iwamoto,"Observation of Contact Angle of Water Droplet by Fringe Method with Bottom Up Oblique Incident Light").
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