液体架橋が介在する二面が相対運動するとき,架橋の変形あるいは固液濡れ界面の移動を原因とする摩擦抵抗が働くことが知られている.本研究では,固液界面の移動を精密に捉えることで架橋の変形の程度を見積もり,摩擦抵抗との関係を調べることを目的とした. 固液界面の斜め下方からレーザ光を照射して固液と気液で反射する光による干渉縞を解析して気液界面の傾斜角を測定する装置を開発した.極めて小さい傾斜角(~1度)を測定可能であることを検証した.またこの装置は,観察像の明暗により,濡れの際(接触線)の位置を一意に定めることもできる. この装置を用いてエタノール液滴がガラス表面を濡れ広がる過程を観察した.徐々に接触角が減少しながら濡れが広がる様子,乾燥により濡れが後退する際の低接触角などを測定した.エタノールはガラス表面によく濡れるために,既存の方法では観察することが難しかった現象である. また同じ装置を用いて液体架橋の形成と分断を伴うガラス球の接触・離反過程での濡れ挙動も観察した.やはりエタノールのようによく濡れ広がる液体の場合には,ガラス球と平面が接触して液体架橋の形成過程が平衡に達したと思われる後も,しばらくの間は濡れ広がり続けていることが明らかになった. 液体架橋の変形を計算可能なシミュレータを開発した.界面の大変形や破断など従来の方法では難しかった激しい流れを扱いうる粒子法に基づいており,気液界面粒子の精密判定を導入した表面張力モデルを新規開発して,液体架橋のせん断や分断を計算可能とした.
|