研究課題
現状の工作機械の位置決め駆動要素としては,ボールねじ機構を用いる場合が最も多く,実際の加工負荷外乱下においてサブナノメートルレベルの位置決め分解能を実現することが期待されている.本研究は負荷外乱下におけるボールねじ機構の微視的特性と限界性能を実験的に明らかにすることを目的とした.リード5mmのボールねじで駆動されるストローク50mmの空気静圧案内式一軸直動ステージに対して,50N/Aの軸力を印加可能なVCM式負荷装置を設置し,静的な負荷を与えた場合の非線形ばね特性の変化について実験と考察を行った.軸方向負荷を加えた状態でステージを揺動させると,非線形ばね特性のヒステリシス曲線は上下にシフトするが,変位振幅によってシフト量が異なることが実験で示された.このヒステリシス曲線の正側と負側の面積差が,釣合状態間の軸負荷に対する仕事量に比例することをはじめて明らかにした.次に軸方向負荷外乱を与えた場合の位置決め特性を実験により検討した.静的負荷の場合は,従来のフィードフォワードを併用したPI-D動作によるゲインスケジューリングフィードバック系により,外乱の影響を完全に除去可能であり,ナノメートルレベルの位置決め特性を達成できた.また動的負荷の場合は, 積分ゲインを増大させることで,10 Hz程度までの負荷外乱変動の影響を抑制することが可能となった.さらに外乱抑圧帯域をさらに高めるためには,状態フィードバック制御等を導入する必要があると考えられる.最後に,本実験装置を拡張して簡易的な超精密旋削加工系を構成し,実際の加工負荷外乱下のボールねじ位置決め系の挙動を実験的に検討した.工具に対して50 nmの階段状目標ステップ変位を与えて,アルミニウム合金(A5052)に対する正面旋削加工を行った結果,加工中の工具の切り込みを目標ステップ変位に追従させることが可能であることを確認した.
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機械の研究
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Proceedings of the 17th International Conference of the European Society for Precision Engineering and Nanotechnology
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2017年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集
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2017年度精密工学会北陸信越支部学術講演会講演論文集(A15)
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