研究課題/領域番号 |
15K05760
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北 栄輔 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50234224)
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研究分担者 |
玉城 龍洋 沖縄工業高等専門学校, メディア情報工学科, 准教授 (60413837)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 隊列走行 / LEGO Mindstorm / 車両追従モデル / 合流モデル / 分流モデル |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究計画においては,隊列走行する車両群から1台だけ別のルートに分流する場合のシミュレーションと1台の車両が合流する場合のシミュレーションを検討する予定であった.平成27年度の研究成果は以下のようにまとめることができる. 第1は,速度制御モデルのパラメータ設計である.これまでの研究成果を元に,4台の車両からなる隊列走行を想定して制御モデルのパラメータ設計を行った.最初の計画では,速度制御モデルには多台参照型Chandlerモデルと類似のものを利用する予定であった.本研究のように車両が隊列から離れたり,隊列に参加したりするためには,車間距離を適切に制御する必要がある.その場合,車両同士の車間距離を適切に制御する必要があるが,多台参照型Chandlerモデルでは車間距離を適切に制御することが難しいことがわかったので,他の車両追従モデルの利用を検討し,パラメータ設計を行った. 第2は,LEGOマインドストームによる隊列走行実験を行ったことである.LEGOマインドストームEV3を利用する予定であったが,制御プログラムの作成のためのプログラミング環境がLEGOマインドストームEV3をサポートするために時間がかかったため,LEGOマインドストームEV3の利用とあわせて,LEGOマインドストームNXTも利用して研究をすすめた.LEGOマインドストームNXTを4台利用して,4台の隊列走行から1台が離れる場合,3台の隊列走行に1台が合流する場合について実験を行った.それと同時に,隊列走行する車両群同士の行動として,交差点での交通と追い越し走行のシミュレーションについて検討をすすめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
順調に遂行できたこととしては以下のことがある.第1は,速度制御モデルのパラメータ設計である.隊列走行する車両群から車両が離れたり,車両が合流したりするためには,車間距離を適切に制御する必要があることがわかったので,車間距離を適切に制御できる車両追従モデルの利用を検討し,それを速度制御モデルとした場合の最適制御からパラメータ設計を行った.第2は,LEGOマインドストームによる隊列制御実験を行ったことである.4台の隊列走行から1台が離れる場合,3台の隊列走行に1台が合流する場合について実験を行った. その一方で,以下の点については予定通りには少し予定より遅れている.第1は,隊列から車両が離れる場合と隊列に合流する場合のそれぞれに適用する速度制御モデルが異なっているので,両者に共通に利用できるモデルとパラメータの設計を行うことである.第2は,実験結果と数値シミュレーション結果の比較において,定量的な比較が十分ではないことである.第3に,研究成果の公開についても,今年度は十分に遂行できていないことがある. これらのことから,上記のような判断となった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究計画が予定よりも少し遅れていると判断されるに至った理由は上記の通りであるが,その原因としては以下のことが考えられる.第1は,速度制御モデルの設計において,想定していなかった実用上の難しさがあることに気づいたことである.第2は,LEGOマインドストームEV3を利用する予定であったが,プログラミング環境を構築できなかったので,LEGOマインドストームEV3の利用とあわせて,LEGOマインドストームNXTも利用して研究をすすることとなったことである.第3は,研究代表者が所属部局の副研究科長として,組織再編の担当者を担当しており,研究に十分な時間をさけなかったことである. そこで,今年度は以下のことについて研究を進める予定である.第1は,隊列走行する車両群から車両が分かれる場合と車両群に別の車両が合流する場合についてLEGOマインドストームによる実験をさらに繰り返し,実験結果と数値シミュレーション結果を比較することである.第2は,隊列から複数台の車両が離れる場合や,複数の車両が合流する場合について実験を行い,結果を比較することである.また,交差点交通のシミュレーションについても検討を進める予定である.第3には,これまで以上に,研究成果を学術雑誌や国内講演会などにおいて公表する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は現在所属部局の副研究科長を仰せつかっている.所属部局は大学内の改組に関連して,設置審査申請中にある.研究代表者は,副研究科長として,設置審査書類の準備,そのための教員組織都教育組織のすべての設計において検討委員会の幹事としてすべての実務の取り扱いを担当していた.この中には,学部教育組織,大学院教育組織,教員組織のすべてを含んでいる.研究計画の速度制御アルゴリズムの設計や実験については研究室を指導しながらすすめたが,国際会議や国内講演会への出席は最小限にとどめる必要があり,そのために予算を十分に消化して活動をすすめられなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度も,副研究科長を仰せつかって,所属部局の改組に関わる作業を処理していくことになるが,昨年度に比べれば時間はもう少し余裕があると思われるので,実験成果について論文にまとめると共に,その成果を昨年度以上に学会発表などの場において公表していく予定である.すでに,日本計算工学会,日本機械学会年次大会,日本機械学会計算力学講演会への発表申し込みを済ませている.その他にも,国際会議や他の学会などで発表を行う予定である.
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