研究課題/領域番号 |
15K05773
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
橋本 巨 東海大学, 工学部, 教授 (40130877)
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研究分担者 |
砂見 雄太 東海大学, 工学部, 講師 (10709702)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 熱粘弾性 / ウェブハンドリング / ロール・ツー・ロール / 巻取り / クリープコンプライアンス / 温度 / 応力 / 極薄フィルム |
研究実績の概要 |
情報、自動車、エネルギー・環境、医療など今後日本経済の中枢をなすものづくり産業分野において、ディスプレイ用各種光学フィルム、リチウム二次電池や燃料電池用フィルム、医療用人工生体膜などの製造技術は、各分野における一層の発展に必要不可欠な技術である。これらの素材は、その製造過程でウェブと呼ばれている。今後、さらに大きな成長が期待されるウェブ製造分野では、プリンティング技術の進歩に見合うだけの高度なウェブハンドリング技術が要求される。本研究では高機能フィルムを高精度で大量に生産することが可能なウェブハンドリング技術とプリンティング技術を融合した革新的なロール・ツー・ロール・プリンティッドエレクトロニクス技術の確立を目指して、ウェブハンドリング技術の一層の高度化を図ることを目的とする。 本年度は、ウェブハンドリング上の重要技術課題の1つである超極薄フィルムの巻き取り時に生じるゲージバンドの発生予測モデルの構築とその実験的検証に向けて、超極薄フィルムの熱粘弾性特性について実験的に検討した。その結果、超極薄フィルムのクリープコンプライアンスが時間とともに上昇し、その傾向は温度と応力に依存することを確認した。特に、半径方向のクリープコンプライアンスは応力に大きく依存し、一方で円周方向のクリープコンプライアンスは温度に大きく依存することを明らかにした。また、ゲージバンドの発生予測に必要な物性値である線膨張係数と摩擦係数についても実験的に検討し、超極薄フィルム特性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、ウェブハンドリング上の重要技術課題の1つである超極薄フィルムの巻き取り時に生じるゲージバンドの発生予測モデルの構築とその実験的検証に向けて、超極薄フィルムの熱粘弾性特性について実験的検証を目的としていた。それらに対して、最も重要となる超極薄フィルムの粘弾性特性(半径方向クリープコンプライアンスと円周方向クリープコンプライアンス)の実験的な検討を実施できた。さらには、ゲージバンドを予測する解析に必要なフィルムの線膨張係数や摩擦係数などの物性値についても実験的に得ることができた。 得られた成果は国内学会にて発表しており、概ね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた物性値からクリープコンプライアンスの予測式を立てて実際に巻取りロールの内部応力を計算するとともに、ゲージバンドを防止する最適巻取り張力について検討する。 また、R2RPEに必要な高度はフィルムの搬送・巻取り技術について理論および実験の両面から検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入物品に変更が生じたため残額が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に残金を含めて消耗品を購入する予定である。
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