本研究課題では、平成27年度においてフィルムと鋼ローラ間の摩擦特性に及ぼす静電気、温・湿度、ローラの表面粗さの影響を詳細に調べた。トラクション予測モデルの定式化に際しては、既に申請者によって体系化されているプラスチックフィルムと鋼ローラ間のトラクション特性に関するモデリングを参考とし、フィルムと鋼ローラ間の静電特性と静・動摩擦特性の関係を実験機周囲の温・湿度やローラの表面粗さを変化させて実験的に調べた。 平成28年度はウェブハンドリング上の重要技術課題の1つである超極薄フィルムの巻き取り時に生じるゲージバンドの発生予測モデルの構築とその実験的検証に取り組む。具体的にはフィルム巻き取り時における巻き取りロール内部の応力解析をフィルムの幅方向における膜厚さの不均一性を考慮して実施した。その結果、幅方向の応力が極めて高くなる領域でウェブにゲージバンドが生じる領域を見積もることを可能とした。さらに、このようなゲージバンドの発生を防止する手段として、巻き取り時の張力をロール幅方向に最適に変化させる方法について検討した。 平成29年度は、平成27年度および平成28年度の成果に基づいてR2RPEの礎の構築を図った。まず、フィルム搬送・巻き取り時におけるスリップ、しわ、ゲージバンドなどのディフェクトを完全に防止するための技術を確立し、独自に設計・試作する試験装置を用いてその効果を検証した。
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