本研究課題で磁場解析方法の中心となる拡張型有限要素法(XFEM)は,従来型の有限要素法(FEM)の定式を一部拡張し、あらかじめ解の局所的特性・基本的傾向が既知である場合あるいは問題に対し,その挙動・分布を表現する関数を解の近似公式に入れ込む解法である。 これによって解析に必要なモデルであるFEMメッシュに、き裂等の複雑形状を陽に作成する必要がなくなり、一般的な直交格子型メッシュでの解析が可能となるので運用面で解析プロセスの柔軟さが向上したり、解析精度自体が向上することを期待するものである. これまで本研究課題では「表面」「内部」「屈曲」「曲線」の4種類の欠陥について取り組んできた。これらを等角写像の観点から理論的・体形的に整理を行い,解析精度に与える影響を把握することができた。 本年度は、この中の内部欠陥について、更に詳細な精度検証を行った。欠陥の傾斜角度の変化に対する誤差ノルムの収束状況を調査し、優れた精度を出していることを確認した。またこの手法を2重欠陥モデルにも適用し、その有効性を確認した。これらの成果を査読論文に反映した。 また今後の発展として、新規の物理モデルを取り上げ、それらに適したエンリッチ関数の導出方法について検討した。具体的には、交流電流用の電流モデルに適したエンリッチ関数、及び、静電コンデンサー周囲の静電場のエッジ効果に適したエンリッチ関数の導出方法について、基本的な検討を行った。特に後者については等角写像を有効に活用できることを発見した。
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