研究課題/領域番号 |
15K05779
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
塩見 裕 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (20578794)
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研究分担者 |
松岡 範子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (20747795)
野木 高 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (30371107) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動圧流体軸受 / 真空 / 表面テクスチャ / 表面張力 / 宇宙用機構部品 |
研究実績の概要 |
宇宙機など真空環境で動作する機器へ動圧流体軸受を適用するために、真空中での動圧流体軸受の特性評価を行い、真空中の軸受特性を予測する数値計算法を構築することが本研究の目的である。そのために本年度は、①軸受試験による表面張力が軸受特性及ぼす影響の調査、②真空中での数値計算手法の検討を主に行った。以下に、それぞれの詳細を述べる。 【軸受試験による表面張力が軸受特性及ぼす影響の調査】 テクスチャ付スラスト軸受を用いて、軸受特性への表面張力の影響を調査した。テクスチャにはすべり方向に直交する直径の両延長線上に油供給溝を有する円孔を採用した。表面張力の異なるフッ素油と炭化水素油を用いた軸受試験を実施し、両油の試験結果を同一の軸受特性数(粘度×速度/(荷重×代表長さ))で比較すると、表面張力の小さいフッ素油を用いた場合に摩擦トルクが増大した。この結果は表面張力が軸受特性に影響を与えることを示唆する。 【真空中での数値計算手法の検討】 テクスチャ周辺を模擬した解析モデルに対し、油膜厚さと隙間の比θを導入したレイノルズ方程式を緩和法で解くことでθの分布を求め、テクスチャ内のキャビテーション領域を算出した。大気中では、キャビテーション圧力を調整することで、実験結果と数値計算結果は一致した。真空中では、キャビテーション圧力が負の値を取れないことから、実験結果と数値計算結果が一致する解が得られなかった。そこで、表面張力を考慮し、キャビテーション領域周辺の液体に負の圧力を許容する計算手法を提案した。表面張力は二面間の隙間とθから算出されるキャビテーション厚さとYoung-Laplaceの式を用いて概算して与える。この手法で数値計算を行うと、真空中においても実験結果と数値計算の結果が定性的に一致することが確認された。しかし定量的に一致するには至らず、表面張力の算出方法などについて今後も検討を行う必要がある。
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