研究課題/領域番号 |
15K05787
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
渡邊 大輔 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 講師 (70363033)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マッハ波 / 超音速ジェット / DNS / 線形安定性解析 / 騒音抑制 |
研究実績の概要 |
超音速ジェットから放射されるマッハ波を抑制するためM=2.0, Re=1000における超音速円形ジェットのDNSを実行した.本年度では昨年度低減効果が認められた加える第三ヘリカルモードの振幅がジェット速度の10%(ジェット流れ方向成分)と比較的大きな振幅となったため,速度成分を半径方向成分のみにした際の低減効果への影響を調べた.その結果,上流より与える撹乱が半径方向速度成分のみでも効果があり,また,3%程度の小振幅で効果が現れることを確認した. さらなるマッハ波低減を達成するためにマッハ波の放射特性を調査した結果,ジェット遠方における圧力変動スペクトルはm=0(軸対称成分)およびm=±1の両成分が支配的であり,特にm=0が卓越していることが確認された.このことは,マッハ波の発生源となるジェット上流の流れにおいて遷移構造の軸対称性を崩すことにより,さらなる低減が見込める可能性を示唆している. 軸対称性を崩すため,互いのヘリカルモードペアに振動数差を与え遷移構造を調査した.その結果,振動数差を与えるとと下流にねじれた渦構造示すとともに中心速度の低下が抑制され,この傾向は振動数差が大きくなると顕著となった.また,ジェット音響場においては,振動数差が大きくなるとジェットから放射される圧力変動が大きくなる傾向を示し,この傾向も同様に振動数差が大きくなるとともに顕著となり,振動数差を与えるのみではマッハ波の更なる抑制効果は生じなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の結果では加えるヘリカルモード振幅が10%と比較的大きな振幅が必要だったが,半径方向速度成分のみを加えた結果3%程度の小振幅で効果が現れることを確認でき,より小さなエネルギーにより騒音抑制効果が見込めることが確認できたため.
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今後の研究の推進方策 |
ジェットから放射されるマッハ波は軸対称成分が卓越していることが確認できたため,ジェット上流の遷移構造における軸対称性を崩すことによりさらなるマッハ波の低減が見込めると思われる.第3ヘリカルモードペア間に振動数差を与え軸対称性を崩すことを試みたが,抑制効果は認められなかったため,本年度では対称性を生じない組み合わせ(第2と第3や第3と第4)をジェット上流より加え,遷移構造の軸対称性を崩すことを試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたGPUボード(NVIDIA Tesla P100)の性能情報が不足していたため、GPU搭載ワークステーションの購入を延期したため.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度においてGPU搭載ワークステーションを購入する.
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