トンボの飛翔を模擬することに注力してきたが,MAVにおいて羽ばたき運動とひねり運動を同時に行う場合は機構が複雑になり,装置の重量増加につながる.そこで,ひねり運動に相当するはく離制御効果を得るために,能動的なはく離の制御によって単純なはばたき運動によって揚力を発生させることを試みてきた.今年度は昨年度開発した数値解析技術,風洞実験装置を用いて,以下の知見を得た.翼が振動する1周期のうちPAが駆動する割合を50%に設定し,PAを駆動させ始める振動周期を0.0とし解析を行ってきた.その結果,PAを駆動させない場合に対して揚力を6.8%増加 させることができ,揚力の変動を小さくすることができた . また,流れの数値解析より渦が揚力を発生させるタイミング,効率的な振動方法,制御方法などが明らかになった. 低マッハ数流れ場において,PA周りの流れと振動翼の計算を行い,その動特性を検討するには,計算規模が膨大(これまでの計算実績では一つの条件を調べるのに数百万ステップが必要であった)となる.また,揚力を改善するためにPAの配置,駆動条件等をパラメトリックに調べる必要がある.このような大規模な解析により飛翔メカニズムを解明し,MAVの性能を向上させるために,一度に大量の計算を流すことのできる計算機を利用する必要性がある.また,トンボや蝶のような飛翔昆虫は,運動性能が極めて高いだけでなく,乱れた気流の中で比較的安定した飛行が可能である.プラズマアクチュエータによる制御でも安定して揚力が得られることを確認した. .
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