前回の科研費(課題番号23560196)で発見した、混合気体の異なる成分が多孔膜を通して逆方向に透過する現象「分子交換流」を応用した混合気体分離装置の試作を行った。得られる濃度変化は、分子量の比が十分大きい混合気体の場合、多孔膜の幅1 cmあたり1%程度に達し、質量差があればどの気体成分にも作用する。これは、卓上サイズの小型装置で、同位体ガスを含む任意の混合ガスの分離が可能であることを意味する。生産流量は多孔膜幅に比例し、自由に増加させることができる。分離に用いるエネルギーは電力に限定されず、例えば、数十度の温度差を持つ温冷水だけをエネルギー源として稼働させることが可能である。
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