本研究は弱電離プラズマを伴う気液2相層状流を対象に可視化して解析すること、同時にラジカルによる電気流体力学(Electrohydrodynamics:EHD)効果の評価を具体化して応用面を開拓することを研究の目的としている。すなわち、EHD分野で重要な流れ場の解析を対象に、流速ベクトル分布を定量化するために粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry:PIV)の適用技術をレーザー誘起燐光画像に適用して、気液2相流体の電気流体力学的イオン流場の流速計測技術を開発すると同時に、その電気的駆動力による流体力学的効果の定量評価とプラズマ分光診断により荷電粒子の電気作用力の定量評価を具体的にすることである。特に、本研究は弱電離プラズマを伴う気相および液相の各々特有なイオン流場(EHD現象)の基礎となる評価を対象として実施してきた。 本年度は、弱電離プラズマに曝された気液界面における流体力学的なエネルギー交換と荷電粒子の電磁的なエネルギー交換の解析方法を検討するため、気液界面から離れるミストの相対湿度をパラメータとして電離作用の評価を行った。具体的には加湿空気中のイオンの極性を考慮して電子なだれの発生と進展に要する時間項を算出するため、インパルス電圧に対する放電の遅れ時間に関する特性の分析を行った。その結果、弱電離プラズマによる気相ミスト粒子の電気作用力を評価するためのイオン極性の影響を考察することができた。この実験データに関する知見は、空気中の弱電離プラズマイオンによるEHD効果の電気的駆動力の解析を進める過程で重要な役割を果たすものと考えている。
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