研究実績の概要 |
本研究では,液相における同軸噴流拡散場の混合現象を解明することを目的として,円形噴流物質およびその周りの環状噴流物質の二成分濃度を,吸光スペクトル法により同時測定した。まず,高空間・高時間分解能の多成分濃度測定システムの開発を行い,同軸噴流拡散場の統計的性質を明らかにした。特に,円形噴流と環状噴流の速度差や Reynolds 数を変化させた場合の,拡散幅などの混合特性を明らかにした。さらに得られた知見をもとに,流れ場に攪乱を加えることによる,同軸噴流拡散場の混合促進などの制御の可能性について検討を行った。 平成30年度は,これまでに開発した二成分濃度同時測定システムを用いた同軸噴流拡散場における濃度測定,粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry, PIV)による速度場測定に加え,水中スピーカーにより同軸噴流に攪乱を加えた場合の濃度場に対する影響を考察した。水中スピーカーを水中に設置し,同軸噴流に直接100Hzの振動を加えた結果,円形噴流では中心軸付近で振動により平均濃度が小さくなることが確認された。一方,環状噴流では振動により中心軸付近で平均濃度が大きくなることが確かめられた。このように同軸噴流に攪乱を加えることにより,実際に同軸噴流拡散場に影響を与えることができることが示された。今後,攪乱の加え方や周波数などを最適化することにより,さらなる混合促進を行うことが期待される。
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