| 研究実績の概要 |
本研究は DNS および高解像度の陰的 LES によりスカラー混合を伴う乱流噴流の解析を行い、とりわけ高レイノルズ数（Re）条件において、微細スケールの乱流スカラー混合がマクロな混合過程に果たす役割を明らかにしようとするものである。
平成29年度では、前年度までに実施した Re = 3000, 10000, 30000 での平面乱流噴流の DNS データに対して空間フィルタリングを施すことで大スケール乱流と微細スケール乱流を分離し、微細スケールによる乱流統計量への寄与について調査を行なった。フィルタ幅を変化させながら、turbulent kinetic energy と scalar variance、また、それらの生成・消失に関する収支を評価した結果、Re = 3000, 10000, 30000 の条件について、それぞれ、コルモゴロフスケールの 60、110、170 倍までのスケールの乱流による寄与が重要であることが示された。
平成27年～平成29年までの研究期間全体を通じて得られた研究成果として、高 Re 乱流のスカラー混合過程において支配的な役割を果たす乱流スケールは積分長付近までの比較的大きなスケールである、ということが示された。この知見により、高 Re 乱流の LES 解析では少なくとも積分長付近までの乱流を正確に捉えることが重要である、ということが明らかになった。また、本研究で得られた DNS データとそれを利用したアプリオリテストなどのデータ分析は、今後、高 Re 乱流のための LES モデリングへ活用されることが大いに期待される。
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