研究課題/領域番号 |
15K05822
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
菅野 望 名城大学, 理工学部, 准教授 (40529046)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 反応素過程 / 反応モデル / 推進薬 |
研究実績の概要 |
人工衛星の姿勢制御用スラスタ推進薬の一つとして知られる非対称ジメチルヒドラジン (UDMH, (CH3)2NNH2) と四酸化二窒素 (NTO, N2O4) の自燃性着火初期段階で重要となる UDMH + NO2 反応素過程を量子科学計算により探索した.得られた結果を基に RRKM 理論,支配方程式解析により各反応経路の反応速度定数の温度及び圧力依存性を検討したところ,主反応経路はアミノ基の水素原子を NO2 が引き抜き (CH3)2NNH + HONO が生成する経路であること,メチル基の水素原子を引き抜き H2NN(CH3)CH2 が生成する経路はエネルギー的に不利であることが示唆された.この結果はモノメチルヒドラジン (MMH, CH3NHNH2) と類似していることが明らかになった. 発ガン性の高いヒドラジン誘導体に代わる推進薬の候補として,UDMH と類似したジメチルアミノ基 (N(CH3)2) を有するテトラメチルメチレンジアミン(TMMDA, (CH3)2NCH2N(CH3)2)の熱解離素過程についても量子化学計算による検討を行った.TMMDA においてはメチレン側の N-C 結合が解離して (CH3)2NCH2 + CH3NCH3 が生成する経路と,メチル基側の N-C 結合が解離して(CH3)2NCH2NCH3 + CH3 が生成する経路が重要となることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UDMHの自燃性反応機構の初期過程における反応経路と反応速度定数の温度,圧力依存を理論的に決定することができた.更にヒドラジン誘導体に代わる低毒性代替燃料の候補としてTMMDAの熱解離初期過程についても反応経路に関する知見が得られた. 上記のように,本課題は当初の計画に従いおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
アミン系代替燃料の候補として,TMMDAから中心のメチレン基 (-CH2-) をエチレン基 (-C2H4-) に置換したテトラメチルエチレンジアミン (TMEDA, (CH3)2NC2H4N(CH3)2)の熱解離初期過程に関する検討を行う.TMEDA では MMH, UDMH, TMMDA には無い C-C 結合が存在するため,熱解離特性に変化が生じるか否かについて考察する. UDMH, TMMDA についても後続反応や NO2 との反応に関する検討を進め,自燃性着火反応モデルの構築を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した計算機(特注品)の構成機器の価格変動による.
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次年度使用額の使用計画 |
計算機のメモリや記録メディア(HDD, SDD等)の拡充に用いる.
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