本研究では、まず垂直加熱平板および水平加熱円柱を水平方向に等間隔Ghで一列配置した場合、および垂直方向に等間隔Gvで一列配置した場合について、列まわりに生じる空気の自然対流の伝熱特性を実験により探った。その結果、水平一列平板列・円柱列では、列中央付近に設置された平板および円柱の熱伝達率は、平板や円柱の増加につれて一定値に収束し、その値は特定の間隔で極大となることを明らかにした。一方、垂直一列平板列・円柱列では、熱伝達率は下流に向かって単調に低下する結果を得た。また、これら平板および円柱の熱伝達率について無次元整理を試みたところ、水平一列平板列・円柱列では水平方向間隔Ghを代表長さにとったヌセルト数NuGhが、間隔Ghを代表長さとするレイリー数RaGhと、物体の代表長さLと間隔Ghとの比(Gh/L)の積からなる無次元パラメータ[RaGh(Gh/L)]で、一方、垂直一列平板列・円柱列では垂直方向間隔Gvを代表長さにとったヌセルト数NuGvが、間隔Gvを代表長さとする無次元パラメータ[RaGv(Gv/L)]でそれぞれ整理できることが分かった。この結果を踏まえて、本研究ではつぎに加熱円柱を等間隔Ghで水平方向に一列配置した円柱列を、垂直方向に間隔Gvで5段、格子および千鳥状に配置した場合について、バンク内円柱の熱伝達率を測定した。この熱伝達率から垂直方向の円柱間隔Gvを代表長さとするヌセルト数NuGvを求めたところ、格子および千鳥配列バンクのいずれの場合も、最下段円柱列のNuGvはパラメータ[RaGv (Gv/d)^2]で、一方バンク2段目から5段目円柱列のヌセルト数NuGvはパラメータ[RaGv(Gv/d)(Gh/d)]で整理できることが分かった。また、バンク2段目以降のヌセルト数は千鳥配列バンクの方が格子配列バンクより高くなることが分かった。
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