研究課題/領域番号 |
15K05827
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
西田 耕介 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 准教授 (00397043)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 熱工学 / 燃料電池 / レーザ計測 / TDLAS法 |
研究実績の概要 |
固体高分子形燃料電池(PEFC)における水分管理の問題を解決し高効率化・高耐久化を図るためには、電池内部での物質輸送メカニズム(水分・酸素)を包括的に捉える必要がある。そこで本研究では、高感度なレーザ吸収分光法である波長可変半導体レーザ吸収分光法(TDLAS法)を応用することにより、実作動状態PEFC内の水分、酸素濃度を高速・高精度かつin-situで定量測定できる「光ファイバプローブ式ガス濃度計測システム」の開発を試みる。さらに、多孔質電極内の物質輸送数値シミュレーションを援用することにより、PEFC電極/電解質界面での液水、水蒸気、酸素挙動を統合的に捉えながら、運転条件や電極構造が電池性能にどのような影響を及ぼすのかを明らかにする。 平成28年度は、光ファイバプローブ式ガス濃度計測システムの更なる高精度化を図るため、「送受一体型光ファイバプローブ」の設計・開発を行った。本プローブは、1本の投光ファイバと6本の受光ファイバで構成されており、複数の受光信号を合成することによって位相の異なるフリンジノイズ(光干渉ノイズ)をキャンセリングし、出力信号のS/N比を高める特徴を有している。また、測定で得られた吸収スペクトルから位相敏感検波により2種類の高調波信号を抽出し、それらの信号強度比から水蒸気のモル分率を定量的に算出する手法を独自に提案した。その結果、燃料電池ガス流路内の水蒸気濃度(モル分率)を±0.5 mol%以内の高精度で定量測定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究実施計画では、「光ファイバプローブ式ガス濃度計測システム」の更なる高精度化を図るため、ノイズキャンセリング機能を有する独自の「送受一体型光ファイバプローブ」を設計・開発し、さらに、測定データから水分濃度を効率的に算出するための定量化法を見出すことを目的とした。それにより、燃料電池(PEFC)の狭小流路内においても±0.5 mol%以内の高精度で水分濃度をモニタリングすることが実現でき、当初の目標は概ね達成できたと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発を進めてきた「光ファイバプローブ式ガス濃度計測システム」を活用することにより、実作動状態の燃料電池(PEFC)セル内の水分・酸素輸送現象を正確に捉えながら、運転条件や電池構造がセルの発電性能にどのような影響を及ぼすのかを明らかにする。さらに、数値シミュレーションを援用することにより、PEFC電極/電解質界面における水分状態や酸素挙動を予測できるようにする。
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